世界には無数の音楽があるわけですから、どれを弾くか迷ってしまいます。
それに、現在の自分の実力に合った曲を探すのは、結構困難な作業ですよね。初心者向けもバイエル教則本だけではありません。
それに、何を弾いてもピアノが上達するというものでもなさそうです。
ここでは、私が生徒さんと一緒に選曲するときの、レベル別のちょっとしたポイントをご紹介します。
おすすめ一覧はこちら→ピアノ楽曲クラシック曲集 とポップス系曲集
教材などは、教材と練習曲 と こどもの教則本とピアノ曲
初心者の方には
- バイエルに固執せずに。
- 以前はピアノ初心者のための日本の定番「バイエル教則本」も、積極的に使用されているピアノの先生は少数派だと思います。理由は様々でしょうが、一番には「欠点が多い」ことと、「他に研究された多数の教材の登場」があげられるでしょう。
もちろん、バイエルがダメなわけではありませんが、欠点を補おうと他の本やバイエルの変奏を沢山やるよりも、初めから良い教材や曲集を使った方が、生徒さんのためでもあると思います。バイエル教則本については教材考察特集の、特集バイエルを考える1をご覧ください。 - 最初からヘ音記号ものが主流
- 現在では、最初からト音記号とヘ音記号が両方でてくる教材も多いですね。初めから大譜表に慣れてしまえば、読譜の力もすぐに伸びます。この点でも、バイエルはかなり進まないとヘ音記号が出てこないので、「ヘ音記号=譜読みが大変」というイメージを持つ生徒さんもいらっしゃるようです。
- 年齢が上の初心の方には
- 実は、バイエルをやりたいという大人の方は、意外にも多くいらっしゃるようです。私は基本的にはバイエルは使っていないのですが、高校生くらいから上の年齢の方で、バイエルをやりたいと希望がある方には、使っています。
その場合も、バイエルの欠点を十分にお話させていただいてから、他のものを併用とするという方法になります。決して効率がいいわけではありませんが、「昔からあこがれていたんです」という方の、希望には沿いたいですね。
初級者の方には
- 古典にとらわれずに
- 初級者くらいでは、古典のソナチネのようなものが以前は定番でしたが、それだけではちょっとつまらないような気がします。音楽は昔のものもいいのですが、今も大切です。私は、子供さんに希望によっては、アニメソングやCMソングなども取り入れています。
- 基本は大事
- 曲はいろいろでも、やっぱり基本は大事です。この時期に鍵盤の弾きかたに変なクセのようなものがついてしまうと、後で訂正するのは結構大変です。初級者用の教則本を1冊は常時練習してもらうようにして、そこにいろんな曲を取り入れていくスタイルもおすすめです。
- 大人の方には曲集をフル活用
- 初心者を過ぎて、少し弾けるようになってきた大人の方には、好みの音楽がたくさん詰まった曲集を1冊用意して、「曲集をフル活用」しましょう。例えば、「初心者でも弾ける映画音楽」のようなピアノ曲集の中から、数曲にチャレンジしてもらうと、グーンと上達してもらえると思います。
初・中級者の方には
- 選曲が難しいレベル
- 本格的といえる中級のピアノ作品はちょっと無理でも、「もう初級レベルは卒業」という、初・中級者の方にちょうどいい曲って、なかなか難しいですよね。私もいつも何か探しているような気がします。
クラシック系統では、ショパンやシューマンなんかの難しくないものを、もうやってもいいと思います。少し早いと思うピアノ先生方も多いかもしれませんが、ロマン派は後でと考えるよりも、いい曲に早い時期に出会ってもらいましょう。 - レパートリーをつくろう
- この時期には、そろそろ人前で堂々と弾いてもかっこいいような「レパートリー」と呼べる曲を、1・2曲身につけると、ピアノの楽しみが増えるような気がします。さきほどあげたロマン派のものでもいいですし、ポピュラーの編曲もので、演奏効果性の高いピアノ曲を選ぶと、生徒さんにも喜ばれると思いますよ。
- 連弾も活用しましょう
- ピアノという楽器は、どうしてもひとりで弾くことが圧倒的に多いので、連弾をレッスンに上手に活用しましょう。やさしような連弾曲でも合わせるのは難しいこともあるので、まずはとっても簡単なものから、徐々に高度なものへの移行するといいようです。
中級者の方には
- どんどんいろんな曲を
- モーツァルトやハイドンのソナタやベートーベンの初期のソナタが弾けるようなレベルを中級程度とすると、世の中には無数に弾ける曲が存在すると思います。もうこのレベルでしたら、生徒さんにはいろんなタイプの曲に挑戦してもらいましょう。近代や現代のものも、取り入れたレッスンが生徒さんの実力を伸ばすと思います。
- 練習曲集も活用
- 基本的には生徒さんの弾きたい曲を中心としたレッスンをしたいものですが、曲のレベルがあがってくると、やはり行き詰まりを感じる生徒さんも出てきます。
そんなときは、練習曲をうまく活用したいものです。専門的に勉強される人はともかく、指の動きの練習を補うという目的であれば、ツェルニーを全部やっていく必要もないでしょう。目的にあわせた数曲を選んで、曲と併用する形でやってもらうと、効果的のようです。 - メディア化されているものを
- このくらいのレベルになると、テレビや映画・CMで流れているクラシックやCD化されている曲も弾けると思うので、そういったメディアで流れている、有名曲に挑戦すると、グーンと実力がアップすることもありますよ。やはり多くの人が知っている音楽を、生徒さんも自分が弾けるということが、励みになると思います。
中上級者・上級者の方には
- 高度な曲にも挑戦
- これまでに古典のソナタやロマン派の小品・近現代の曲にも多く触れてきた方は、さらに高度な曲にも挑戦してみしょう。
例えばベートーベンでも中期から後期のソナタ、ショパンのノクターンやプレリュードやバラード、スケルツォなど、シューマンの数々の作品、ドビュッシーやラヴェルの作品などです。多くの時代の作品を弾くようにすると多彩なテクニックと表現が備わりピアノ演奏が一層充実します。 - 練習曲集も活用
- 上級者はぜひショパンのエチュードに挑戦しましょう。技巧的にも表現上でも高度な演奏力が必要なショパンのエチュードは、1曲にたっぷりと時間をかけて弾いてもいい曲ばかりです。
その他にもモシュコフスキーやモシェレスなどの練習曲もいいでしょう。
クラシック系曲集は、ピアノ楽曲クラシック曲集を
ポップス系曲集は、ピアノ楽曲ポップス系曲集を
教則本や教材などは、教材と練習曲を
こども教則本は、こどもの教則本とピアノ曲をご覧ください。