ピアノレッスンのヒント集

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上達のヒント  譜読みを速くしたい

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  12. 音階を弾く3練習しよう
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  14. 3度和音で指練習
  15. 分散和音(アルペジオ)を弾く1
  16. 分散和音(アルペジオ)を弾く2広い音域
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  11. 発表会で緊張しないために
  12. 中期の計画をたてる
  13. 作曲家一人を集中的に
  14. 録音を練習に

難易度が中級くらいの曲を弾いていても、譜読みがかなり遅い人もいると思います。

譜読みは「慣れ」が肝心で、数多くの曲数を弾いていく練習が最大の効果がありますが、ここでは効率の良い譜読みの方法を考えてみましょう。


譜読みが苦手、遅い人の共通点

「どうしても譜読みが遅くて」・「長い曲は譜読みが大変」・「#や♭が多い曲は苦手・・」
こうした譜読みが苦手、または遅いという人には、いくつかの共通点がありそうです。

一つは、普段から鍵盤や手を見て弾いている人が多いでしょう。これについては、鍵盤感覚にて説明していますのでお読みいただき、普段から楽譜を見ながら弾くようにしていただきたいと思います。
もう一つは、譜読み段階から暗譜してしまうクセがある人が多いようです。
例えば、数小節を繰り返し練習 → 暗譜 → 次の数小節を繰り返して練習 → 暗譜 のような譜読みで、暗譜を繰り返しながら譜読みをしていく方法です。
これも、鍵盤感覚と関連性がありますが、この方法だとかなり譜読みに時間がかかりますし、一度譜読みミスをして間違って暗譜してしまっても後から気がつきににくく、さらに、とにかく音だけを弾くような平坦な譜読みになる傾向があり、仕上がり段階でもそうした平坦な演奏から抜け出せない原因の一つにもなります。


譜読み入門〜左右片手ずつ譜読みをやめる

新しい曲を譜読みする時に、右手を弾いて慣れてから、左手をやって、慣れたら両方を合わせる、というパターンでやっている人もいるかもしれません。極端な例になると、レッスンで「今週は右手だけやってきました」のような人もいますが、これは非常に効率が良くなく、譜読みが苦手な人をつくる要因にもなります。
左右の片手ずつ譜読みの方法で教えている人もいると思いますが、ピアノでは基本的には最初から両手で譜読みをする方が効率が良いので、片手ずつ譜読みをやっている方は今すぐにでも卒業して、両手譜読みをしてみましょう。

これまでに両手譜読みをしたことがなく、現在弾いている曲のレヴェルではどうしても片手譜読みになってしまう方は、現在の実力よりも少し簡単な曲集や教本を1冊用意して、余裕で両手譜読みができるようにやってみると、意外にすぐに両手譜読みの習慣をつけることができます。

※ ただし、バッハなどの多声音楽では、それぞれの声部を分けて弾いて練習する声部練習をすると思いますが、これは大事なことであり、左右片手ずつ譜読みとは違います。


譜読みの強化〜暗譜譜読みをやめる

暗譜しながらの譜読み(暗譜譜読み)をやめて、効率の良い譜読みを目指します。
新しく弾く曲の楽譜を準備しましょう。難易度は普段弾いている曲くらい、または少し易しくてもいいと思います。

  1. いきなり弾くのではなく、楽譜全体を見てみます。頭の中で音が把握できれば良いのですが、わからなくても良いのです。調号、テンポ、デュナーミク(フォルテやピアノ、クレッシェンドやディミヌエンドなど)、フレーズ、表現の記号なども確認します。
    そして、それよりも大事な事は、楽譜全体から何か曲のイメージを感じて欲しいと思います。「この箇所は大変そう」・「たっぷり歌おう」・「メロディーのラインが上昇してから下降している」・「左手の和音は把握できそう」・「同じリズムが続くみたい」・「風や空気を感じる・・・」など、何でもいいのです。
  2. 曲の最初から弾いていきますが、できるならばその曲のテンポ近くで、初見演奏のようにサラッと弾いて全体のイメージを把握しましょう。難しい曲で無理そうであれば、この段階は省いて次に進みます。
  3. 曲の最初から譜読み開始です。手や鍵盤をあまり見ずに、楽譜を見ながら弾いていきますが、とてもゆっくりと弾きます。ゆっくりでも、デュナーミクやスタッカートやレガート、フレーズなどもきちんと読み、イメージを含めて曲想は最初から意識して弾いてみましょう。

簡単に言ってしまえば、だいたい以上のことで、初見演奏のコツと似ています。違うのは何度も全体を弾くことになることくらいです。
「えっ!これだけなのことなの?」と思われるかもしれませんが、手順としてはこの程度のことです。まずまずの鍵盤感覚がある程度ある人なら、それほど難しいことではないでしょう。

暗譜譜読みをやめることによって譜読み速度アップになり、譜読みのミスを減らすことができます。
また、曲想を最初から意識することは、平坦な譜読みから平坦な演奏に仕上がってしまうことを防ぎます。音楽的にでも触れていますが、譜読みが終わってから、初めて何か表情を付け足すような方法では、もう既に平坦な演奏が身について(脳に染み込んで)しまって、後から音楽的な高度な仕上がりにはなりにくいもので、気をつけたいものです。


できるだけ長めに読む

暗譜譜読みを改善すると同時に、新しい曲の譜読みはできるだけ長く読む習慣をつけましょう。
これは個々のピアノ経験の長さや実力にもよりますが、例えば、2ページくらいの新しい曲に取り組む場合には、「今日は1ページ弾いてみて、明日は次のページ」ではなく、一気に2ページを弾いてみます。ゆっくりでいいのです。
こうして、曲全体を最初から譜読みすることによって、譜読みの早い段階で曲全体の印象をつかむことができますし、曲の冒頭から細切れに暗譜譜読みをしていくよりも、譜読み速度としては効率が良いことは、何度か試すと実感できると思います。
例えば、譜読みが遅い人が、2ページの曲を最後までゆっくりと譜読みするのに、20分かかったとします。それが2回目には15分、明日は10分、さらに次の日は7分、5分・・・と、短くなっていきますので、かなり時間がかかるのは最初だけです。

こうして全体を譜読みするようにしていければ、少しずつレヴェルアップしていき、難易度の高い曲を弾くようになれば、一度に5〜10ページからもっとそれ以上など、より多く一度に譜読みをしていく習慣ができれば理想的です。
長いまとまりで譜を読む習慣を持てば同時に新しい曲を数曲持ったとしても、譜読みが苦にならないくらいになると思います。

もちろん、曲のページ数が長くなってくると、いくつかに分けて「今日はここまで譜読み」といった感じで良いでしょう。しかしその場合でも、ある程度のまとまりで読んでいくのが譜読み速度をアップさせるコツです。


調号や臨時記号が多く大変というけれど

新しい曲を譜読みする時に、調号や臨時記号が多かったり、音符がぎっしりと並んでいる楽譜を見ると抵抗感があり、譜読みをする気力がかなり必要という人も多いと思います。確かに、ドビュッシーやラヴェルなどのフランス物や、その他の近現代の作品や邦人作品の譜読みは大変という声はよく聞きます。
しかし、落ち着いて楽譜を見てみると、難曲を除いては一つのまとまりの中でに弾いている音というのは、実はそれほど多いわけではありません。それに気がつけば少しは気が楽になるでしょう。

調号も多くて音符が込み入っているようでも

そうは言っても、やはり譜読み抵抗感を少なくするのは少しの時間は必要です。コツとしては、常に新しい曲をどんどん譜読みしていく習慣をつけるのが良いと思います。
技術的に困難な曲である必要はありません。すでに中級程度の曲を弾けるなら、例えばサイト内でも紹介しているギロック叙情小曲集などは、24の調なので使ってみるのもいいでしょうし、もっと簡単な曲集ならバーナム全調の練習も全調ものなので利用しやすい本です。

そのような多くの調の短めの曲を常にたくさん弾き進めることによって、少し長めで調号の多い曲への抵抗感も、かなり和らぐと思いますので挑戦してみるといいでしょう。そして、フラットやシャープが4個5個といった調性は、手にとっては弾きやすいということも実感できると思います。


譜読みポイントとまとめ

このページの内容は、特に譜読みが速くなるような画期的方法ではなく、ピアノを弾いている多くの人がやっているような当たり前に近い方法ですが、暗譜譜読みや平坦な譜読みをしている人は意外に多いものです。特に独学でピアノを弾いている人は、かなりの割合で暗譜譜読みをしているように思います。
暗譜譜読みが定着してしまっている人は、そこから抜け出すのは少し苦労するかもしれません。しかし、抜け出せたならば譜読み速度は格段にアップしますので、ぜひ挑戦してもらいたいと思います。

また、「譜読みが速い人は、暗譜が遅い傾向にあるのではないか」という話をよく聞きます。確かに、初見演奏が得意な人や譜読みが速い人は、暗譜が遅いように傾向を感じる時もありますが、実はそうでは無いと思います。
つまり、譜読みが速いとだいたい弾けた程度で何度も弾かなくなる場合が多いので、要するにしっかりと時間と期間とかけた弾き込みが足りないのと思うのです。ですので、譜読み速度がアップすること自体が、暗譜が苦手になることにはなりません
特に、コンペティション(コンクール)などでは、暗譜しなくてはならない状況になる場合も多いと思いますが、そのためには暗譜譜読みが良いのではなく、常に楽譜を深く読んでたくさん練習して結果的に暗譜しているということになると良いと思います。

平坦な譜読みも気をつけたいところです。「譜読み後に歌い方や表情を何とかする」というピアノ指導者は結構多いのかもしれませんが、最初から楽譜の表情も読み、ゆっくりでもイメージを持って弾くことが後の仕上がりに良い影響を与えます。仕上がり途中で最初のイメージと異なってきてもいいのです。無表情で平坦な演奏をしてしまってからはイメージは生まれにくいものです。

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