ピアノを弾く上で重要である分散和音(アルペジオ、または、アルペジョ)について考えてコーナーです。
アルペジオは難しい!
と思っている方も多いと思います。音階的な動きはある程度得意でも、アルペジオは指を広げなくてはいけなませんので、音をはずすことも多くなります。
ここでは、アルペジオ奏法の基本的な事項を考えてみましょう。
- お断り
- このコーナーに書かれているアルペジオの指使い等に関しては、ツェルニー等の練習曲を指番号を守って練習している方にとっては当然のことであり、基本事項です。したがって、主に独学でピアノを弾いている人や大人の方のための解説となっています。
広い音域を弾くアルペジオについては、分散和音(アルペジオ)を弾く2広い音域をご覧ください。
基本指使いを徹底する
ベートーベンやモーツァルトのソナタを弾いているような人でも、アルペジオの部分の指使いを見ると「おや?」と思うことがあります。指使いが基本どおりではないからです。
基本の指使いとっても、難しいことではありません。例えば、下の図のようにド ミ ソ ドの場合は、ソとドは3と5の指ですが、次のド ミ ラ ドの場合はラとドは4と5ということ(図の青線の位置)です。
要するに、白鍵の3度音程は4と5で弾くという、当然のことなのですが、これを3と5で弾いている人が意外にも多いのです。
別に4と5で徹底しなくても、3と5でも弾けます。実際、独学でピアノを弾いている人や、習っていたけど途中でやめてしまった人の中には、知らずに3と5で弾いている人も多くいるようです。
しかし、テンポの遅い曲や簡単な曲なら困りはしませんが、曲が難しくなってくると、やはり4と5でないと対応が難しくなっています。より多くの曲を弾くと、実感できることですが、3と5よりも4と5の方が3度ははるかに弾きやすいのです。
ですから、アルペジオを弾くと上では、基本的な指使いを徹底しておくことは、難易度が高い曲を弾く上では非常に重要です。4の指(薬指)をほとんど使用しないで弾いている人を見かけますが、そういった指使いで弾いていては、難易度の高い曲では通用しなくなります。
- でも原則でしかない
- これは徹底した方が良い原則ですが、あくまで原則です。大人の初心者の方やそれほど難曲を弾かないピアノ愛好者の方は、3と5で白鍵の3度を弾いても悪くはないと思います。
そして、曲の流れや前後の動き次第では、本来4と5の箇所を3と5で弾くことはあります。原則には例外があるものです。
全ての指を使うアルペジオ
普段、曲を演奏する時に、4の指をさけてアルペジオを弾いている人でも、音が多いアルペジオになると、結局は全ての指を使用しないと弾けません。
例えば、下のような減七の和音では、当然のように5本の指全てを使用します。普段は4の指を使わない人にとっては、こういったアルペジオを難しく感じることもあるようです。
こうした動きの難しさは、全ての指の間隔が少し広がるということでしょう。音階も当然全ての指を使用して弾いているのですが、間隔が狭いので練習を重ねると動きは比較的スムーズになりやすいと思います。
しかし、アルペジオは間隔が広いので、指や手の甲や腕などに緊張感が起こりやすいでしょう。
スムーズな動きで弾く
対策と言いますか、結局はアルペジオの基本練習をハノン教則本などのアルペジオのページをしっかり何度も繰り返して練習する必要が、ピアノ専門志向の人にとっては必須ではあると思います。
ですが、一般のピアノを趣味で弾いている愛好家の方とっては、アルペジオばかりを毎日練習するのは非効率すぎるので、お薦めはできません。
ですからアルペジオのような動きを苦手としている人は、普段のピアノ演奏でアルペジオを弾く時の意識を大事にしましょう。
気をつけたいのは、主に以下のポイントです。
- 余計な力は入れない
- 指を広げようとする意識が強すぎると、手首などに力が入りすぎて、音のコントロールが思うように出来ません。腕にも余計な力は入っていないほうがいいでしょう。
- 手首の軽い横移動で
- アルペジオを指だけで弾こうとすると、音のつながりやぎこちなくなったり、音の大きさが不均衡になる人もいるでしょう。手首をリラックスさせて、軽い横移動のつもりで弾いてみましょう。
- 4指を簡単な曲で活用
- アルペジオで4指を普段は使っていない人も、レベルアップのためには少しずつでも使うことに慣れたほうが得でしょう。「4で鍵盤を押す」と思うと大変ですから、まずは4で鍵盤に触れるようにアルペジオを弾いてみましょう。
このようなことに注意して、ピアノの練習に生かしてみてください。初級者の方や大人の方など、趣味でピアノを弾いている人は、練習曲でアルペジオを弾くことよりも、普段弾いている曲のアルペジオ的な動きの部分で、少し意識して弾くように心がければ、次第に無意識でもスムーズに演奏できるようになると思います。
○オクターブを越えるような広い音域のアルペジオの奏法などについては、
こちらの→分散和音(アルペジオ)を弾く2広い音域をご覧ください。
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