ピアノレッスンのヒント集

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上達のヒント  メトロノームを活用しよう

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音楽の練習では正確なテンポのために

メトロノーム練習が大事だ!

と思っている方も多いでしょう。確かにメトロノームを使った練習は効果がある場合もありますが、その使い方についてはいろんな方法がありそうです。
ここでは、ピアノの練習でメトロノームを活用する場合の方法について考えてみましょう。


テンポの確認

筆者愛用のメトロノーム

メトロノームでの練習というと、「最初は遅く設定して、少しずつ速いテンポにして練習する」と思っている方が多いと思います。
もちろん、そういった使い方はしますので(これより下方にその使い方を述べています)、メトロノーム練習の認識はそれで間違いではありません。

しかし、そのような少しずつ速くしていくようなメトロノーム練習は、普段はそれほど重要視しなくても曲は弾けるようになるものです。
では、メトロノームの役割はいったい何でしょうか?

一番の役割は、やはりテンポの確認でしょう。曲の冒頭に「テンポ120」などと表示されている場合に、それがどれくらいのテンポであるのか、確認するためにメトロノームを使います。一度くらいメトロノームで曲の冒頭だけでも合わせて弾いてみれば、「うん、このくらいのテンポか」と把握できるので、そのためにメトロノームがあると思っていいでしょう。

また、練習している曲をピアニストのCDなどで聴く時に、メトロノームでおおよそのテンポを測ってみて、「このピアニストは、この部分はだいたい102くらいで弾いているみたいだ」と、参考の一つにする方法もあります。自分がどれくらいのテンポで曲を弾くのかを、考える目安にもなるでしょう。


正確な譜読みの手助けに

メトロノームの有効な役割の一つに、正確な譜読みの手助けがあると思います。
新しく曲を譜読みして練習する時に、指定テンポよりゆっくりと弾くと思いますが、この段階で何度かメトロノーム練習を入れてみると、楽譜上の音符のリズムを正確に読めているのか確認ができます。

特に、曲想が変わったり調が変わったときや連符が出てきた時などに、テンポが急に速くなったりリズムが崩れて不正確な譜読みをしてしまう方は中級者以上にも多いので、ゆっくりなテンポのメトロノームを参考に、正確に譜読みできているのか確認してみるといいでしょう。


常にメトロノーム練習は注意

正確なテンポで弾くために、練習曲も曲も常にメトロノームと一緒に練習している方がいますが、ちょっと注意が必要です。
確かに、メトロノームに合わせて弾く練習をたくさんやって、合わせて弾くことができれば、均等な時間という意味では正確に弾けているとは言えそうです。しかし、それは「音楽を演奏する」という意味での正確性になっているでしょうか?

音楽には拍子があります。フレーズがあります。ディミヌエンドやクレッシェンド、フォルテやピアノといった表情もあります。他にもテンポの微妙な変化もありますし、曲のイメージの音色もあります。
これらは当然、譜読みの段階から意識してイメージを持って弾くものですが、メトロノームに合わせて弾く練習ばかりをしていると、数字上では正確なテンポでも、音楽の拍子を無視したテンポ感、フレーズを無視した弾きかた、無表情に弾くだけのピアノ演奏にどうしてもなりがちです。

ですから、曲を弾くときに正確なテンポを保って弾くためにメトロノーム練習を取り入れる場合でも、「音楽を演奏する」こともしっかりと備えた上で使う必要があります。
そのためにも、過度なメトロノームに合わせて弾くことよりは、「テンポの確認」といった使い方くらいに思っているほうが、ほどよい使い方のように思います。


でも、しっかりメトロノーム練習

過度なメトロノーム練習は必要ないことを上記に述べましたが、有効な場合もあります。それは、演奏者にとって実力より少し上の難易度の速めの曲を弾く場合や、かなりテンポの高速な曲を仕上げていく場合です。

そうした曲を弾く場合には、ただ漠然と弾いているだけでは安定した演奏で高速でテンポまでは、なかなかもっていけないことも多いでしょう。そこでメトロノームの活用です。

この場合には、このページ冒頭の写真にあるような、デジタルのメトロノームを用意します(安いものなら1,000円くらいの価格で販売されているでしょう)。
このようなデジタル式ですと、テンポを細かく設定できるので練習に活用しやすいのです(ピアノ初級者の方やメトロノームをあまり使ったことが無い方は、普段の練習には振り子式のメトロノームの方が、目でもテンポを確認しながら使えるので、使いやすいかもしれません)。

まず、仕上がる曲を絶対にミス無く表情豊かに、腕や手首にも余計な力が入ることなく余裕で弾けるようにします。もちろん、もの凄くゆっくりでいいのです。
それが出来たら、そのゆっくりで完璧に弾けるテンポと同じくらいに、メトロノームを設定。そのテンポで通して弾いてみましょう。

その設定テンポで通して問題なく演奏できたら、メトロノームのテンポを1アップして、また通し演奏をしてみます。上げるテンポはたった1です(これが、ぜんまい仕掛の従来のアナログメトロノームには出来ない)。
テンポは2上げても良いのですが、要するにテンポを上げたことを、自分の脳がテンポが速くなったと気がつかない範囲で上げていくことが、この練習方法のポイントですから、一度に上げるテンポは2くらいまででしょう。
やってみるとわかりますが、4くらい上げると「テンポが速くなった」ということに、確実に気がついてしまいます。テンポが速くなったことを意識してしまうと、それまで確実に演奏できていたのに、無理な力がどこかに入るなどして不安定な演奏になってしまいます。

1回の通し演奏で上げるテンポを1か2ずつして練習しますが、1日に上げるテンポは合計でも5以内くらいにしておいたほうが、この練習方法の場合には確実だと思います。次の日の練習はそのテンポから、または1くらい落としたテンポからまた同じように弾いて次第にあげていきます。
このように、脳がテンポが速くなったと気がつかないようなテンポアップ練習で確実にテンポアップをしていけば、かなりの速度でも弾けるようになる可能性があります。

ご注意 実力よりも遥かに上の難易度の曲では、この方法でも弾けるようにはなりません。実力相応の曲をたくさん弾いて、ピアノ演奏の底力アップに努めるほうが良いでしょう。


ゆっくり練習の徹底のために

少しずつテンポを上げるためのメロトノーム練習とは逆に、ゆっくりと弾くことを徹底するためのメトロノーム練習という使い方もあります。

普段の練習では、譜読み段階で少し弾けてくると、すぐにテンポをあげてしまいたくなる方や、「この曲はしばらくはゆっくりとしたテンポで練習をしよう」と思っても、テンポがすぐにあがってしまいがちな方も多くいると思います。
すぐにテンポをあげた場合でも弾けていれば問題はありませんが、不完全なままにテンポをあげてしまうと、やはり不完全な仕上がりになってしまうことが多いものです。

そこで、ゆっくりテンポのメトロノームを使って練習をします。完全に余裕で弾けるテンポにメトロノームを設定して、そのテンポに合わせて練習をしましょう。
ゆっくり練習を意識してもテンポがどうしても上がってしまう方も、メトロノームの音があればしっかりとゆっくり練習ができると思います。

メトロノームというと、「正確なテンポとテンポアップ練習のため」と思われる方が多いと思いますが、このようにゆっくり練習の時にテンポアップを防いで確実に弾く練習のためという使い方が、特に中級者以上には多いように思います。


ポイント

練習の過程では正確なテンポで弾くことも重要ですので、テンポの確認、そして時にはメトロノームに合わせて弾いてみることも悪くはありません。特に、テンポ感が崩れやすい方には、適度に使用することは有効な練習方法です。
また、例えば教則本考察のページでも紹介しているようなバーナムピアノテクニックのような、短くい練習曲をメトロノームを使って弾くのもいいでしょう。その時には、テンポだけではなく、特に拍子感を意識して練習すると、拍子感が身につきやすいので効果的です。
しかし、人間の心臓の鼓動が一定ではないように、音楽のテンポ感というのも本来は機械のように一定な正確性ではありません。ですから、メトロノームにぴったりと合った演奏というのは、聴いていてかなり不自然さを感じて当然です。
メトロノーム練習をする時には、そうしたことも踏まえて上で適度に使用されると良いでしょう。

メトロノームを買う時に、デジタルと振り子式のどちらかにするか迷われる方もいると思います。テンポを細かく設定できて使い勝手も良いのはデジタルですが、テンポが目に見えるという振り子式の魅力もあります。
2つ所持して練習の目的によって使い分けすることもできますが、1つを買う場合にはまず振り子式がいいでしょう。特に初級者で体にテンポ感が身についていないうちは、振り子式で動きがはっきりと目で確認できる方が、合わせ易いと思います。

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