ピアノレッスンのヒント集

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上達のヒント  分散和音(アルペジオ)を弾く2 広い音域

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ピアノを弾く上で重要である広い音域の分散和音(アルペジオ、または、アルペジョ)について考えてコーナーです。

広い音域のアルペジオは苦手

と思っている方も多いと思います。音階では数オクターブの上昇下降は弾けるけど、アルペジオではうまく弾けない方もいると思います。

ここでは、広い音域のアルペジオ奏法を考えてみましょう。

お断り
このコーナーに書かれているアルペジオの弾き方や説明は、正しい方法というわけではありません。手の大きさや関節の柔軟性は個人によって異なり、様々な考え方や奏法があります。

広い音域を使う分散和音を弾く

このコーナーの「広い音域のアルペジオ」とは、オクターブを越えて弾くような分散和音のことです。
例としてハ長調の ド ミ ソ ド ミ ソ〜 という上昇系の分散和音を使います(譜例 広い音域の分散和音)。

広い音域の分散和音

指使いは、1 2 3 を繰り返すだけなのですが、上の譜例の青い印をつけた箇所のように、3指で弾いた後の1指への移行の時に、苦労しているという方が多いようです。


親指をくぐらせるのは苦しい

上のような分散和音を弾く時に、親指を下からグッとくぐらせるようにして弾く人もいます。そのように弾くと手が写真のような感じになります(某ピアニストさんから提供の写真を利用しています)。

分散和音を弾く手1

この写真では、ソ を弾いた後に、ドを弾くために親指を下から極端にくぐらせて分散和音を弾こうとしています(わかりやすいように、ソ と ド の鍵盤に青い丸印をつけています)。
このやり方の困難な点は、すでに音階を弾く 親指でも触れていることと、ほとんど共通しています。

親指の横移動が難しい

分散和音で親指を中指よりも小指側に持っていくのは非常に難しい動作であり、親指付け根の関節と筋肉に、かなりの強さと柔軟性が必要になります。

肘がバタつく

親指くぐりでアルペジオを弾こうとすると、写真を見ていただいてもお分かりのように、どうしても肘が外側へ大きく動く現象が起こります。それにより鍵盤をコントロールすることが難しくなり、演奏を不安定にさせます。

これらの理由から、親指を他の指の下から極端にくぐらせるようにして、広い音域の分散和音を弾くことは、あまりおすすめできません。ゆっくりな曲なら可能ではありますが、広い音域の上昇や下降を多くするような音型やスピードのある曲の場合は、さすがに親指のくぐらせでは苦しいでしょう。


親指ではなく、手首ごと移動

そこで、分散和音を弾くときも音階を弾く2手首の移動の説明でも示しているように、親指の極端なくぐらせではなく、手首ごと移動して弾いていきます。
↓下の写真のように、ド ミ ソ の ソ まで弾く時に、手首は右方向へ移動して・・・

分散和音の手首の移動1

↓親指が次の ド の位置にくるように、手首ごと横へパッと素早く移動させます。

分散和音の手首の移動2

これで次の ド ミ ソ を弾く体制が既に出来ていますね。
別に難しいことではありません。要するに、ソ と ド を「親指でつなげよう」などとは思わずに、ソを弾いた時点から素早く次のドへ、手首ごと右へ移動させるだけです。

このように、手首を素早く移動させて分散和音を弾くようにすると、速くパッセージでも安定して弾くことが可能です(もちろん練習は必要ですが)。


音は途切れても良い

広い音域の分散和音を、手首のパッと素早い移動で弾いたとしても、
「それでは、ソ と ド が、つながらずに、途切れてしまうのでは?」
と思う方もいるでしょう。
確かに、練習して動作になれて分散和音を弾いたとしても、移動の箇所では音は途切れて聴こえます。

しかし、それで良いのです。音は途切れてもかまいません。
そして、かなりの速さで弾く分散和音では、その途切れがほとんど気にならないくらい弾けます。
また、実際の楽曲の中ではペダルを適度に使用することが多いので、音の途切れることなく演奏できます。

逆に、ペダルを入れない状態で「分散和音を途切れないように」という意識が、親指の極端なくぐりの動作で弾くことにつながるのでしょう。それで音は途切れなく弾けますが、曲の難易度が高くなってきたり、テンポが速い分散和音だとかなり困難になってきます。


補足-手の写真について
某ピアニストさんから提供されている上記の手首を移動する分散和音の弾き方の写真は、実際に高速で分散和音を弾いている状態を撮影したものではなく、弾き方の例として撮影したものなので、普段の曲や分散和音演奏時の手の形とは、多少異なり、実際に曲中の速い分散和音を弾くときには、「ソを弾きながら右方向へ移動」の右方向への傾きが、もう少し少ない状態からの移動であるでしょう、とのことです。
しかし、親指を極端にくぐらせないで、手首の移動をして弾くという説明を理解してもらうためには十分なものであるとのことです。
補足-教則本などについて
初歩教材や教則本で、分散和音についての詳しい弾き方が掲載されているものは、少ないようです。普及しているハノンにも、分散和音の指番号のみが書いてあり、実際の手については触れられていません。ですので、独学で弾いている方の中には、無理してつなげて弾くと思っている方もいるようです。

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