有名なメロディーで人気の曲です。少し難しい箇所もありますがブルクミュラ25練習曲くらいを弾いている方でもぜひ挑戦してみましょう。
ピアノソナタ8番「悲愴」より2楽章 Sonate Op.13 ベートーベン Beethoven
ゆっくりとした曲なので指を速く動かすことははありませんが、きれいに弾くためにはいくつかチェックしておきたい箇所がありそうです。
● 譜例の青い数字は「小節」を示しています。
冒頭からのメロディーをきれいに歌うように意識して弾きます(譜例01)。
この曲では、常にメロディーと伴奏のバランスを大切に弾きましょう。また主旋律以外にもバスもメロディーのようなラインになっていますから、それも意識して弾きます。
この9小節から(譜例02)4声になりますが、やはりメロディーはしっかり聴こえるように意識して弾きます。アルトとテノールの内声の16分音符の動きは抑え目に弾きましょう。左右の手ともに1指の音は不安定になりやすく突如大きな音を出してしまう場合もあるので、よく聴いて指のコントロールを大事に弾きます。
23小節目以降(譜例03)のように、内声にメロディー的な動きがある場合があります。
この箇所は少し難しいのですが、出したい音をより深く弾くようなを意識で弾くと、しっかりとした音で弾くことができるでしょう。
3連符が続く37小節目以降(譜例04)が、この悲愴2楽章が技術的に難しいところだと言えるでしょう。
特に右手はメロディーをしっかり弾きながらも3連符を刻むのですが、慣れるまでも余計な力も入りやすくメロディーも思ったように響かないこともあると思います。
そこで、手の大きさにもよりますが、弾きやすくするために3連符を左手で弾いてみましょう。
本来は楽譜どおりに弾くのですが、左手が和音(青丸枠で囲った音)を弾いた後に3連符の箇所(青四角枠で囲った音)を弾くことによって、右手の負担がかなり軽減されます。
これ以降の小節でも右手の3連符を適宜左手で弾くことで、右手の負担が少なくなりメロディーも出しやすくなりますので、弾きやすいようにいろいろと試してみるといいでしょう。
48小節目(譜例05)では、右手の最上声音も大事ですが左手の青丸枠で囲った音をしっかり弾いてみましょう。
70小節目(譜例06)は楽章も終わりに近づいてきて、きれいにまとめるところです。
終盤ですが急に遅くならないようにテンポを確認しながら練習してみましょう。この2楽章のみを弾く場合には少しrit気味に終えても良いと思いますが、だらだらと間延びしてしまうよりは少し遅くなるくらいの方がまとまりが良いと思います。
緩徐楽章の演奏
ピアノソナタを弾くときには、1楽章または終楽章のみを練習することは現実にあると思いますが、この悲愴ソナタの2楽章のようなゆったりとした楽章(緩徐楽章)にもたくさん素晴らしい曲がありますし、勉強にもなります。
ゆったりとした曲の時こそ拍子感を保って弾くことが大事ですので、音符のリズムと拍子を正確に把握して練習するように心がけましょう。
また、ベートーベンのピアノソナタが弦楽四重奏を意識したような4声部のつくりになっていることは、この悲愴ソナタの2楽章でも同じように言えると思います。
いかがでしょうか。素敵な曲ですから中級くらいの方にぜひ弾いていただきたい曲です。
もちろん、これ以外にもチェックポイントはありますし、ここにあげたことが正しいわけではありません。あくまでひとつの例だと思って、活用してください。