中級から中上級くらいのレパートリー曲や発表会曲として人気のショパンの「ワルツ14番(遺作)」を取り上げてみましょう。
「ワルツ14番(遺作)」 valse14 ショパン chopin
ステージ演奏にも適している華やかで演奏効果の高いワルツです。ポイントを確認してみましょう。
● 譜例の青い数字は「小節」示しています。
冒頭(譜例01)に速度の表示がvivace とあるように、この曲はそれなりのスピードで弾かないと曲の持つ魅力が十分に発揮できませんので中級以上の方におすすめです。(練習は当然ですが確実性を大事に遅めに)
最初の8小節は前奏のようになっていますが、これだけでも少し難しい動きですからよく練習してみましょう。遅めに弾きだして7小節目まで加速するように弾く方法もいいかもしれません。
9小節目(譜例02)からはこの曲の少し奇想風のような主題が表れます。
右手の装飾音符の頭を左手の1拍目の頭とタイミングを合わせて弾く(譜例02の青線)のがショパンらしいでしょうか。
33小節目(譜例03)からはこのワルツの聴かせどころの一つです。
難しい動きではありませんが左手に跳躍があり右手も広い音域を弾くので音を外してしまいがちです。
この箇所は左右両方の手の動きを見て弾くと首を左右に振って忙しく弾くような感じになってしまって、演奏も不安定になりあmす。
できれば右手の動きは鍵盤を見ないで感覚で弾けるようにして、目は左手の動きを見るようにすると演奏が安定すると思います。
この58小節目(譜例04)からは曲調が変わりますから雰囲気を変えて弾きましょう。
左手のリズムは大切に、右手は適度に歌心を持って弾くようにします。
ここでも右手装飾音符は左手の1拍目と頭と合わせる弾くといいでしょう。
91小節目(譜例05)からは先ほどの58小節目と似たような感じですが、左手の伴奏系が異なります。
この左手の8分音符は流れ良く弾きましょう。
右手のメロディーの8分音符と左手の8分音符の縦の線を不ぞろいになるように弾くのも悪くないと思います。
112小節目からは曲の締めくくりに入りますが、右手の動きは和音をしっかりとつかむことを意識しましょう。
120小節目(譜例06)の右手の音(譜例06 青丸印)は、版によっては変ロ音(B♭)とされている場合もありますし、ピアニストの録音でもどちらの音のものもありますから、それほど気にすることもなく使用されている版の音を弾くと良いと思います。
音域の広い曲の演奏
このショパンのワルツのように使用されている音域が広い曲になってくると、鍵盤や左右の手全てを見ながら弾くことが困難になってきます。
ですから、こうした中級以上の曲に挑戦する前の初級や初中級の段階で、鍵盤や手を見なくても弾けるように鍵盤感覚をしっかり養っておく必要があるのです。(手や鍵盤を見ないで弾くには鍵盤感覚などをご覧いただければと思います)
いかがでしょうか。この「ワルツ14番(遺作)」をしっかりと弾けるくらいになると、ショパンのより難しい曲への挑戦もできると思います。
もちろん、これ以外にもチェックポイントはありますし、ここにあげたことが正しいわけではありません。あくまでひとつの例だと思って、活用してください。