ピアノレッスンのヒント集

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楽器考察〜生ピアノ

  1. 楽器考察
  2. 生ピアノ
  3. 電子ピアノ
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  5. ピアノ印象レポート
  6. ボストン
  7. カワイ
  8. ヤマハ
  9. スタインウェイ

ピアノイメージ

やっぱり本物のピアノだ

というのは、誰しも本音でしょう。

アコースティックピアノ(電子に対して「生ピアノ」という言い方もしておきます)の需要をいうのは、近年確実に減っているでしょう。場所をとりますし、大きな音は、弾いている人以外には迷惑なことも多いと考えられます。

しかし、本物の良さはやはり電子ピアノでは味わえないものがありますので、電子ピアノで始められた方も、出来ればアコースティックのピアノを購入していただきたいものです(ピアノ購入後も、電子ピアノは主に譜読みや夜間練習用に使うといいでしょう)。


生ピアノ雑学

ピアノについて少しでも知っておくと、購入時の参考にもなると思います。楽器屋さんや調律師さんに相談して購入する時にも、このページの雑学程度の知識は持っているといいでしょう。

ご存知のようにピアノという楽器は、安いものではありません。新品のグランドピアノなら120万円くらいから、アップライトピアノでも数十万円はするのが当然です。高級品を求めようとすれば、上はいくらでもあるかのように、かなりの値段のピアノもあります。
しかし、家庭でピアノを始めるきっかけとして1台購入するなら、中古品でも悪くないと思われます。楽器メーカーや中古ピアノを扱う専門店がしっかりと調整をした中古ピアノの状態はかなり良いので、新品同様とまではいかなくても、ピアノに適した環境と定期的な調律で、良い状態を保つことができるのです。
ここでは、代表的な(国内で接する機会が多いという意味で)ピアノメーカーとブランドをあげてみましょう。リンク先は、メーカーのホームページまたは、日本の輸入総代理店のページです。

メーカー一口コメント印象レポート
STEINWAY&SONS スタインウェイ 世界の一流ピアニストに最も弾かれているピアノで、最高とされるピアノメーカーの一つスタインウェイ。日本全国のコンサートホールで出会う機会の多いピアノです。 印象レポート
YAMAHA ヤマハ 日本の2大ピアノメーカーのひとつヤマハは、さまざまなサイズのピアノが、家庭から学校、音楽大学、コンサートホールに至るまで、日本の全国各地に最も普及しているピアノと言えるでしょう。 印象レポート
KAWAI カワイ 日本の2大ピアノメーカーのひとつカワイは、コンサートグランドから小さなアップライトまで、多くの機種を製作していて、家庭からホールまで世界中に普及しています。 印象レポート
Apollo アポロ(東洋ピアノ) 質の高いピアノに、専門家にも根強いファンがいる日本のメーカー東洋ピアノ(アポロ)。目にする機会はそれほど多くは無いかもしれません。
DIAPASON ディアパソン 生産台数が少なめで普及率はそれほど高くはないのですが、専門家のファンも多い日本のメーカーのディアパソン。現在はカワイ傘下でありながらも独自の設計と製造をしています。
BOSTON ボストン スタインウェイが設計を担当して、日本ではカワイが製造しているピアノのボストン。ピアノ指導者などやアーティストなど、専門家で愛用されている方も多いと思います。 印象レポート
Essex エセックス スタインウェイが設計を担当して、中国のパールリバーが製造しているピアノのエセックス。スタインウェイの第3ブランドでいろいろなデザインも面白く、一般家庭への普及ピアノという位置づけのようです。
BECHSTEIN ベヒシュタイン 世界最高のピアノの一つとされるベヒシュタインは、リストやドビュッシーが愛したピアノとしても知られています。ヨーロッパ一メーカーにしては珍しく、アップライトピアノにも力を入れています。 印象レポート
FAZIOLI ファツィオリ 最高のピアノを目指しているイタリアのメーカーのファツィオリ。生産台数も非常に少なく価格もかなり高価です。まだ歴史は浅いですが、世界の一流ピアニストから注目を集めています。
SAUTER ザウター ドイツの伝統あるメーカーのザウター。独特の弾き心地と音色は日本でもファンが多いピアノです。グランドピアノはもちろん、アップライトピアノにも力をいれています。
PETROF ペロトフ 伝統を守りながら生産されるチェコのメーカーのペトロフ。ヨーロッパ製ピアノにしては生産台数が多くて実売価格が抑え目なので、最近は日本でも見かけることが多くなりました。
Bosendorfer ベーゼンドルファー 世界最高のピアノの一つとされるウィーンのベーゼンドルファー。最低音が低いドまである(97鍵)のコンサート用グランドピアノ、インペリアルが有名。現在はヤマハの傘下です。
Bluthner ブリュートナー 世界的に評価の高いメーカーであるドイツのブリュートナー。現在も手作りで少数生産の体制を維持している歴史のあるメーカーです。
SCHWESTER シュベスター 1929年創業。手作りでグランドピアノとアップライトピアノを少数生産の日本のメーカーのシュベスターピアノ。
WIATARIA ウイスタリア 手作りでグランドピアノとアップライトピアノを少数生産の日本のメーカーのウイスタリアピアノ製作所。1923年創業と歴史のあるメーカーです。
KREUTZER クロイツェル 受注生産の手作りで主にアップライトピアノを生産する日本のメーカーのクロイツェルピアノ。
BEHNING アサヒピアノ ベーニングのブランドのアップライトピアノ製作の日本のメーカーのアサヒピアノ。

この他にもグロトリアン、プレイエル、など、海外を中心に多くのピアノメーカーやブランドがありますが、現在の日本のだいたいどこにいても代理店や取り扱い店などがあったり、関東や関西にショールームや総代理店があって問い合わせができて買うことができるピアノということであれば、上の表にあげたようなところが主要なピアノメーカーだと思います。

新品でも中古ピアノでも、購入の時は本来は弾いてみて(試弾、耳で聴いて)、機種を決めるのが原則です。カタログと値段のみで決めてしまってから、家に運び込まれたピアノが、イメージと全く異なっていても困ることになります。同一メーカーの同機種でも1台づつわずかな違いがあるので、多くの楽器を試弾できるところで選ぶことができれば理想的です。
ただ、近くに楽器メーカーの直営店や工場や修理場、ショールームや試演奏ができる楽器店が無い場合は、やはり注文という形になってしまうかもしれませんが、新品を購入するならそれほど試弾に固執する必要もないかもしれません。ピアノというのは、新品の音が部屋の環境に何ヶ月も何年もかけて慣れて定期的な調律もされて、次第に真価を発揮してくるものだからです。
それでも販売店や調律師の方と、よく相談した上での購入が基本です。不明な点は何でもよく質問してみましょう。ピアノはセールだからと衝動買いするような価格のものではありません。少しの価格差よりも納得しての購入が大事です。


最低限これくらいはチェック

ピアノは新品でも中古でも安くない買い物になるので、パンフレットでも実物でも、ここだけはチェックしましょう。

本来は弾いてみて自分が気に入った音なら、それが最も良いピアノということになりますが、一般の方で数百台ものピアノを弾いたことがある方はきっと少ないでしょうから、「どういった音がピアノの良い響きの音なのか」ということは、普通はなかなか判断できるものではありません。特に中古品の選択時に、自分の耳を過信するのは禁物です。
また、ピアノの置き場所によっても異なるので、自宅に置いたときにどのように聴こえるかは、わからないものです。それでも、できるだけ実際に弾いてみて納得しての購入が良いでしょう。また、ピアノは一般に大きい方が(グランドは奥行き、アップライトは高さ)音の質は良い傾向にありますが、大きければ良いというものではないですし、値段も高くなります。
フタをあけて中身を見る
中古ピアノの場合には、フタを空けて中身を確認しましょう。
専門家でなければハンマーや弦・アクションなどの状態はわかりませんが、少なくてもきれいに掃除されていないピアノは避けた方がいいでしょう。
大きさと重さ
本物のグランドピアノはかなりの重さと大きさで、一般に大きいほど質の良い音ということになりますが、お部屋の置けるのか十分な確認が必要です。アップライトでも、機種によって大きさや重さには、かなりの違いがありますので、要確認。
重さのチェックも忘れずに。通常は家にピアノを入れても床には影響はありませんが、少し古い家の場合には特にグランドピアノは床が抜けないか、建てた建築屋さんやマンションの不動産屋さんに念のため確認しておくと安心です。
タッチ感
これもグランド・アップライトや機種によって様々ですが、あまりこだわりすぎなくても心配ないでしょう。毎日弾いているうちに、自分とピアノのタッチが合ってくるものですし、調律師さんに後から少し調整してもらうこともできます。
鍵盤表面の材質
白鍵に象牙、黒鍵に黒檀を使用しているのは、今ではコンサート用の高級グランドピアノのみですが、グランドピアノの中位機種では、白鍵は象牙に似た材質(人工象牙)を、黒鍵も黒檀に似た材質を使用して、触感を似せています。
これが中位以下の低価格のグランドやほとんどのアップライトでは、材質を似せていないアクリル系の鍵盤です。これが気になる方はカタログ等を参考に、そして実際のピアノに触れて違いを確かめてみましょう(ヨーロッパ製の高級ピアノは、現在はほとんどがアクリル系鍵盤です)。
ペダルの数と機能
最近のグランドピアノはほとんどが3本ペダルですが、中古品の古いものだと2本ペダルの場合もあります。ペダルについては、ペダルの豆知識のコーナーをご覧ください
サイレントや録音機能
防音設備が整っているお家は少ないでしょう。隣近所とのトラブルをさけるためにも、サイレント機能付はマンションなどでは必要と考える方も多いと思います。
録音の機能付は、自分の演奏を確認できて上達の早道かも・・・ただ、これらの機能が無いシンプルなピアノの方が値段は安くなります。

グランドかアップライトか

毎日の練習が、整備された質の良いグランドピアノと音響が整っている部屋だったら最高です。それだけで自分の弾くピアノが素晴らしいものに聴こえるので、心地よく弾くことが出来て、結果的には上達にも効果的だとは思います。専門志向ならグランドピアノを選択するのが良いのは当然です。

しかし、本格的にピアノをやろうと考えている人の中には、「アップライトピアノはダメ、専門的にやるなら絶対にグランドピアノ」と誤解している人も(ピアノ指導者の中にも)いるようです。
確かにグランドピアノとアップライトピアノには違いはあり、音質そのもの、音の伸び、響きの違い他に、特に音の表現の幅とタッチ感に差があります。
グランドピアノの鍵盤を弾いてみるとわかるとおり、2段階で沈むようなつくりになっています。同音の連打性能も通常、グランドピアノは1秒間に14回くらいと言われていますが、アップライトピアノはその半分の1秒間に7回くらいと言われています。
連打性能は中級くらいまでは気にならないと思いますが、同音連打の多い近現代曲(ラヴェル、ドビュッシー、プロコフィエフなど)を弾く場合にはかなり影響があります。(※ただし、最近は連打性能に優れたアップライトピアノが、東洋ピアノ(アポロ)やザウターなどから製品化されて発売されています)

このように、グランドピアノとアップライトピアノは音も性能も全く違うものですが、これだけ多くの家にグランドピアノが普及している国は、おそらく日本だけではないでしょうか。欧米でもグランドの普及率は日本ほどではないですし、特に旧東ヨーロッパの国々などでは、狭いアパートで音楽専門家や音楽大学の学生がアップライトで練習しているのは当たり前です。クラシック音楽に近年力を入れている中国でも、音楽大学の練習環境でグランドピアノが普及しているとはいえない状況のようです。

それでも、ヨーロッパや中国からは優秀なピアニストが多く出てきます。彼らは普段は狭いアパートや練習用個室で、アップライトピアノでの練習ですが、舞台上では素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

要するに、普段のピアノ練習が、良いグランドピアノならそれは恵まれたことですが、ガタついているようなアップライトピアノでも、実力の伸びにあまり影響は無いようです。どうせコンサートなどの本番では自分のピアノで弾かないのが普通です。
以前にブゾーニ国際コンクールで優勝したイタリア人の様子をテレビで見ましたが、彼も普段は家にあるオンボロアップライトピアノで練習していました。2005年ショパンコンクール優勝のブレハッチも、浜松国際コンクールで入賞するまではアップライトで練習していたのは有名です。

ですから、ピアノを始めようとするのが特に小さな子供などの場合は、中古のアップライトでもいいと思います。信頼できる中古ピアノのお店をいくつか調べてみて、きちんと整備されており88の鍵盤すべてが鳴っていれば一応OKだと考えてはいかがでしょう。もっとピアノが楽しくなり、良い楽器が欲しくなってからグランドピアノを購入するのも選択のひとつです。

また、最近は非常に音の質の良いアップライトピアノが海外メーカーなどから出荷されており、並以下のグランドピアノよりも音質、表現の幅などを上回っているようにも感じますので、好みの音色や家のスペースなどを考えて選択されるといいでしょう。


大事なのは購入後

予算内で気に入ったピアノの機種を選定することは重要ですが、大事なのはむしろ購入後の定期的なメンテナンスでしょう。せっかく多額のお金をかけて購入したピアノなのに、全く調律をしなくなったり、室内の湿度などに無頓着な人は多いものです。
木材と金属、その他いろいろな数多くの部品からできているピアノは、環境の変化が激しいと微妙に体調を崩してしまい良い音を出してくれなくなることもありますから、気をつけたいものです。一般的に湿度は55%前後(50〜60パーセント)を保っているといいと思いますが、ご家庭そこまで気を使わなくても55%の前後15%(40〜70%)くらいを目安にされてはいかがでしょうか。
温度や湿度管理については、こちらのページ⇒ピアノ部屋の環境も合わせてご覧いただければと思います。

購入時には、ピアノをよい状態で使うための冷暖房等のアドヴァイスを受けておくと良いと思います。また、最低1年に1度は調律師さんに診てもらいましょう。調律師さんとのコミュニケーションが、ピアノを良い状態で保つ秘訣でもあります。わからないことは調律師さんに積極的に質問してみましょう。

ピアノ余談

もう亡くなりましたが、最後の伝説的ピアニスト、ミケランジェリは普段はアップライトピアノでしか練習しませんでした。家でグランドピアノをガンガン弾いていては耳が悪くなるというのが、理由のようです。
確かにグランドピアノの音量と響きを生かせる部屋の環境を持っているひとは、それほど多くはないでしょう。単に部屋が広ければいいというものでもありません。

そういう意味では、日本の一般的な家の大きさでは、グランドの響きはよく伝わらないこともあるので、グランドピアノを買う予算があるとしても、部屋の広さや天井の高さなど考慮して決めるといいと思います。もちろん、4畳半や6畳の部屋にグランドピアノを置いても悪くはありません。また、コンパクトなタイプのグランドピアノもあるので、いろいろと検討するといいでしょう。
ピアノ指導者というのは実はそれほどピアノという楽器自体には詳しい人は少ないものなのです。購入を検討されている方は、できればピアノの調律師さんや楽器店の担当店員さん、メーカーの詳しい担当者さんにご相談されることをおすすめします。疑問の思ったことや、わからないことは何でも遠慮なく質問することも大事です。

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