ピアノ印象レポートのページです。今回は、
YAMAHA ヤマハ
についてみていきましょう。
日本の最大手ピアノメーカーであり、国際的コンクールでの使用ピアノ、コンサートピアノとしても世界的にも知名度の高い“YAMAHA ヤマハ”。小さな子供からから一流ピアニストまで幅広く愛用されています。
その印象を簡単にレポートしてみましょう。
ご注意 このページは個人の主観的な感想であり、ピアノのメーカーやブランドの個々の機種の解説ではないということをご理解下さい。
また、同一機種のピアノでも個々の個性にがあり、さらに設置場所の環境や調律、弾かれてきた年数等によって音も弾き応えもかなり異なりますので、「こういうピアノがあるんだ」という参考程度にお読みいただければと思います。
楽器店にて
2012年のモデルチェンジされたグランドピアノのシリーズから、“C3X”を弾いてみます。従来のCシリーズのグレードアップ版という位置づけのようですがどうでしょうか。
第一印象としては従来のCシリーズとは音の質がやや異なるとうことです。
従来のCシリーズはだいたいどのピアノを弾いてもはっきりと鳴っているはいるのですが、音が通っている、伸びがあるという感じよりも幾分厚めにその場で鳴っているようにも感じていたのですが、このあたらしいC3Xの場合には少し遠くで鳴るような感じで無理矢理感のあるパワーというよりも音が通るようになった印象です。
また音の分離感がいいように思うのでペダルを多用する素早い曲を弾いた感じでも、音の輪郭はよく聴こえているように思います。
低音の重厚感もまずまずあるように思いますが、中高音から高音にかけてはもう少し透き通るような音になって欲しいようにも思いますが全体的はバランスは良いように感じます。
ややアクションに硬さを感じますが、タッチ感は軽すぎず重すぎずで弾きやすい感触で、これからグランドピアノを購入を検討される方の選択肢に入りやすい機種だと思います。
定価で220万円余りということなので、他のメーカーやブランドにも同じような価格帯またはそれより少し上の程度の価格帯のグランドピアノは多いのでたくさん試弾して検討されるといいかもしれません。(2012年11月)
もう1つ以前から気になるアップライトピアノがあるので弾いてみます。
ヤマハのアップライトピアノのbシリーズから“b113”で高さが113センチの小柄なピアノです。
既にご存知の方も多いと思いますがこちらのbシリーズのアップライトピアノはヤマハのインドネシア工場でつくられているピアノで、オープン価格となっていますがヤマハのお店はだいたい40万円ということになっているようです。
インドネシア製で新品アップライトピアノなのに40万円という低価格を先に知ってしまっているとどうしても先入観があるものですが、ピアノを弾いた感触と音を実際に確かめてみたかったので今回弾いてみることにしました。
第一印象としては想像していたよりもきれいに鳴っているということです。
中音域帯ではあまりムラもなく鳴っていますし、低音部の迫力は物足りなさを感じますが音の通りは悪くない感じです。
高音域はキラキラとしてはいるものの音質的に輪郭があるような音にはなっていないので、少し物足りなさを感じます。
タッチの感触で少々気になったのは弾いていてバネっぽい感触がやや強いことです(この機種というよりも、もしかしたら今回弾いたこのピアノ自体だけかもしれませんが)。
アップライトピアノはアクションの構造上、どのメーカーのピアノもバネっぽい感触は多少はするものだと思いますが、このピアノはそれがやや他のアップライトピアノよりも気になりました。(2012年11月)
楽器店にて
今回はヤマハピアノを置いている都内の楽器店にて試演奏してみます。
まずヤマハのグランドピアノでレッスンの現場でもご家庭などでも最も一般的だと思われる、186cmサイズ(「奥行き」の長さです。以下同じ)のグランドピアノ“C3”を弾いてみます。
第一印象としては、その場でははっきりと鳴っているのですが、やや伸びを感じにくい音質のようです。中音域の充実に比べて高音は少し軽い金属的な音がしますが、これをキラキラとした音と感じるのかどうかは好みもあるでしょう。
鍵盤のタッチ感としては重くも軽くも無い平均的な感じを受けますが、ややアクションの硬さのようなものを弾いていて指に感じましたが、それほど気になるものではありませんでした。
次に同じく186cmサイズの“C3A”を試演奏。こちらは同じCシリーズでも、弦などがより高級品仕様になっている「少し上質」の「アーティスティックエディション」という位置づけのピアノのようで、価格も僅かですが高くなります。
音の印象としては、こちらの方が少し大人しくてどの音域も柔らかい音も出せる感じでしょうか。そのせいかさきほどのC3よりは幾分弾きやすいピアノに感じます。
ただし、通常のC3と比較してこちらのC3Aの方が上質仕様の音と感じるのかは好みもありそうで、はっきりとした音が好きな方は通常のC3の方が良い音と感じることもありそうです。(2008-02)
レンタルスタジオにて
今回はヤマハピアノを置いているレンタルスタジオにて弾いてみます。
まず“C3L”(現行機種は上記で既に弾いている「C3」)を弾いてみます。製造から3年ほどたっているようです。
調律のせいもあるのでしょうが、特に高音に伸びがあまりないようですが、どの音もほど良くなっている感じなので演奏のコントロールとしては良い感じです。
鍵盤のタッチ感としては少し軽めで弾きやすいピアノでした。
次は、ヤマハグランドピアノの高級機種であるSシリーズの“S4A”(現行機種「S4B」)を弾いてみます。191cmの大きさで製造から5年ほどのピアノです。
低音から高音までクリアーに響いてなかなか音の伸びもあります。中低音に迫力もありますし高音が軽過ぎない響きでよく通る感じで、さきほどまでのCシリーズと比較するとこちらの方がかなり上の印象です。この部屋は10畳ほどの広さがあるのでピアノの良さを感じることができるスペースかもしれません。
タッチ感としては幾分軽めの印象で大変弾きやすいので、弱音から迫力ある和音までのコントロールもしやすいでしょう。
価格としてはかなり高額で、この大きさの国産ピアノではかなりの高級機種と言えるピアノです。(2008-02)
別の小規模スタジオにて、C5L(現行機種はC5)を弾いてみます。製造から4年ほど経過していて、よく弾かれているピアノのようです。
第一印象としては、音量はかなり出せるものの全体的にやや硬い音色のような印象です。これは調整具合にもよるのかもしれませんが、特に高音部でそのような印象を受けます。
また、鍵盤を弾いた感触としてはもう少し機敏さがあると弾きやすいように思いました。これも普段の調律の際の調整具合によっても大きく異なるのですが、少し気になりました。(2008-11)
ホールにて
今回は某公共音楽ホールでヤマハのフルコンサートグランドピアノを弾かせていただきます。
今回は音楽専用のホールでお目にかかることも多い“New CFVS”(フルコンサートピアノ 275cm)をステージ中央に置いていただきます。製造からは5年ほどたっているようです。観客席(約600席)はホール関係者のみで観客はいない状態での演奏してみます。
音の輪郭がはっきりとしていてホールの程よく響き渡ります。ラウドペダルをしっかりと踏んで高速で弾いても音を聴きわけしやすいので、演奏者の感覚としてはいつもの演奏どおりに弾きやすいでしょう。半分くらい踏むラウドペダルの使い方も足の操作が大変やりやすいように思います。
高音から低音までのムラも少なくて最弱音から最強音まで幅の非常に広いので、いつも弾く曲をいろんな表現をしたくなる気分です。
ただ、今回弾いたピアノに限っては、輝かくような音色といった感じのピアノでもないので好みも分かれそうです。また、もう少し音の陰影や立体感をつけた演奏のためには、ある程度の時間弾いてピアノのコントロールに慣れないといけないようにも感じました。
タッチの感覚としては軽快であり大変弾きやすいピアノです。ただし、象牙の白鍵と黒檀の黒鍵は指に滑りを防止するので一般的には弾きやすいと言われますが、今回弾いたこのピアノの鍵盤に関しては少し摩擦が強いのような感じを受けるようにも思います。(2008-02)
補足
常に日本のピアノ製造をリードしてきたヤマハは、現在では世界的メーカーとしての地位を確立したと言って良いでしょう。コンパクトなグランドピアノからフルコンサートピアノまで、価格に応じたしっかりとしたピアノを生み出していると思います。C3サイズ(かつてのG3なども含めて)をレッスン現場で見かける機会も非常に多いと思います。
一般的なご家庭の約6畳の広さのお部屋に置くのでしたら、CシリーズのC2が中心のサイズに、C3やC3Aも選択肢に入るといった感じでしょうか。
ただし、このサイズくらいは他メーカー、ブランドの製品ラインナップも充実しているので、いろいろと弾き比べてみることをおすすめいたします。
またヤマハが好きな方でご予算とお部屋のスペースがある程度ある場合には、Cシリーズよりも価格は高いですがSシリーズが選択肢に入ってくるでしょう。CシリーズとSシリーズの価格差はかなりありますが、音としてはやはりそれだけの違いは歴然とあり、Sシリーズのピアノの完成度は高いものですから、楽器店やショールームなどで弾き比べてみるといいでしょう。
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