ピアノ印象レポートのページです。今回は、
STEINWAY スタインウェイ
を弾いてみました。
世界の最高峰のピアノメーカーの1つとして有名な“STEINWAY スタインウェイ”のピアノは、世界中のピアニストに愛用されています。
日本では、音楽専用の大ホールや中ホールにスタインウェイのコンサートグランドD-274が置いてあること多く、複数台を置いているホールも珍しくありません。ピアノリサイタルやピアノ協奏曲などが入っているプログラムのコンサートを聴きに行った時、コンサートのステージで弾く機会がある時には出会う確率の高いピアノでしょう。また、中小規模のホールにもB-211が置かれていること多く、目にする機会は非常に多いと思います。
その印象を簡単にレポートしてみましょう。
ご注意 このページは個人の主観的な感想であり、ピアノのメーカーやブランドの個々の機種の解説ではないということをご理解下さい。
また、同一機種のピアノでも設定場所の環境や調律、弾かれてきた年数等によって音も弾き応えもかなり異なりますので、「こういうピアノがあるんだ」という参考程度にお読みいただければと思います。
楽器店ショールームにて
東京都内の某楽器店ショールームにて新品で展示してあるスタインウェイのグランドピアノを弾かせてもらいます。
1つ目の機種はスタインウェイとしては最も一般的で目にする機会も多い“B-211”を弾いてみます。鍵盤は、ホールなどに置いてあるスタインウェイなどと比較すると、あまり軽くないような気がしますが、重いという印象ではありません。
音の質としてもスタインウェイとしては幾分柔らかさもあるような感じもしますが、全体として通りの良い響きで太い低音と光るように伸びる高音域は、音の少ないシンプルな曲でも多彩なテクニックを要するな曲を弾いても非常によく合うように感じて、演奏がとても心地よく感じられます。特に中高音域のキラキラとしたような音の良さは素晴らしいです。反面、調律のせいもあるのかもしれませんが、中低音の深みがもう少し欲しいようにも思いました。
もう1つの機種は、小型のグランドピアノ“M-170”を弾いてみます。
奥行きが170センチというと見た目にもわかるほどに小さめのピアノですが、弾いた第一印象ではそれを感じさせません。鍵盤の感触としては、こちらもスタインウェイとしては軽い感じではありませんが、適度な感じで弾きやすい感触です。
音のパワーや全体のバランスは、先にB-211を弾いたので直接比較してしまうと確かに全体の鳴りや特に低音の響きなどはコンパクトな感じはしますが、それでも小さめのグランドピアノにありがちなバランスの悪さをあまり感じないので、非常に弾きやすいピアノという感想を持ちました。ただし、調律のせいもあるのかもしれませんが、もう少し整った音になるようにも感じました。
ホールや小規模スタジオなどである程度弾きこまれたスタインウェイに出会う機会は多くても、新品は普段は意外と弾けないですからその違いの面白さも感じました。(2009-08)
ホールにて
スタインウェイを置いているホールにて演奏してみます。
タイプはコンサートグランドの“D-274”です。
調律の直後に弾かせてもらいましたが、客席が約600人規模の音楽専用ホールで音の響きも良いところということもありますが、会場の隅々にまでピアノの響きが行き渡るのを感じます。
よく調整されたスタインウェイのピアノの場合には、大曲を弾く時の十分な鳴りと繊細なピアニシモが得られるような印象で、とても伸びやかな音色です。
実際にいくつかの曲を弾いてみると特に中高音から高音までの輝くような響きは、やはり素晴らしいものがあると思います。演奏者が出したい音がすぐに出せるような感覚が弾いていてとても気持ちが良いのです。例えば、硬質な響きが連続する後にすぐに柔らかな、しかし輪郭のあるような歌という弾き方も、演奏者の意志に反応してくれます。
低音もパワフルにも、そしてゆったりとも響かせることができるので、音の積み重ねによる表情豊かな演奏が可能です。ただし、今回のこのピアノでは低音でいつくかの音の通り具合が幾分気になりました(と言っても僅かな差ですが)。
スタインウェイは一般的に鍵盤は軽めに感じることが多いのですが、このホールのピアノも鍵盤はやはり軽めの印象です。しかし、ただ軽いという感じではなく反応も良く、非常に打鍵操作しやすい軽さなので、速い動きや繊細な和音の連続を弾いてもコントロールがしやすいように思います。
ペダルは幾分浅めに感じますが微妙な加減の操作はやりやすく、僅かにダンパーペダルを利かすことももちろんできますが、少しの慣れは必要かもしれません。
また、シフトペダルによる音色の変化は、このピアノの場合は変化が少なめのように思います。(2008-11)
小規模ホールにて
都内の小規模ホールにて、モデル“B-211”を弾いてみます。
150人規模の小さな音楽専用ホールですが、第一印象としてはこの大きさのピアノで充分に会場の隅々まで音が行き渡る感じがしました。ですから、最も大きいモデルDや次に大きいモデルCよりも、このモデルBが合っているようです。
鍵盤は少し軽めで、深さも幾分浅い印象ですが気になるほどではありません。鍵盤の反応や手への馴染みが良いので、多くのスタインウェイは他のメーカーのピアノよりも、鍵盤を軽く感じることが多いように思います。
音質は、中高音から最高音部にかけての輝くような鳴りと響きは非常に良いように思います。これはやはりスタインウィイのピアノの特徴でしょう。音がよく通るのでメロディーのラインを出したいような曲でも無理なく鳴り響かすことができますし、音が多い曲でも聴き分けをしやすいようです。
最低音部にもパワーと深みを存分に感じるのですが、今回弾いたこのピアノは、中低音の響きは思ったよりも通っていかないような雰囲気で、高音の鳴りの良さに対して少しバランスが気になりました。これは調整具合にもよりますから判断は難しいところです。
ペダルが浅く感じるのはスタインウェイの特徴の1つでもありますが、今回のこのピアノもそのような感じです。ハーフペダルなどの微妙な加減を頻繁に使う場合には、ある程度の慣れが必要となります。(2008-10)
補足
一般の家庭などでスタインウェイを購入することは、よほど予算に余裕がある方のみでしょうから、現実的ではないことは確かですが、ホールやレンタルスタジオなどに納入されていることが多いので、弾く機会が多いピアノかもしれません。
金属的とも言われる(良い意味で)輝くような響きは、世界中の一流ピアニストから支持されている音質ですが、調整具合によっても多少異なりますし、人によってはもう少し甘めだったり渋暗さのある響きが好きな方もいるでしょう。
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