ピアノレッスンのヒント集

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ピアノ発表会を開催する時に「ひとりひとりの生徒にそれぞれどのような選曲をするのか」というのは重要ですが、気をつけたいのは発表会プログラム全体のバランスです。
生徒の弾きたいような曲、合っていると思われる曲を個別に選曲した結果、同じような作曲家、同じような曲調の曲、過去数年とほとんど変わり映えしないプログラムなどといったことにならないようにしたいものです。


同じ作曲家ばかり並ばないように

同じ作曲家が並んでいるプログラムを目にすることは、意外にも多いものです
昔はソナチネアルバムに入っている曲やブルクミュラーが並ぶことがありましたが、現在はそうしたことは無いと思います。
それでも例えば初級〜初中級くらいの生徒の多くがギロックに偏っていたり、中級以上がショパンに偏るなどのプログラムです(下のピアノ発表会プログラムの例)。

ピアノ発表会では、同じ作曲家に偏ってしまってプログラム全体を見た時に変化が少ないことはよくあります。

このプログラムでは個々の曲は演奏効果の高いものが多く、コンクールや発表会などでも取り上げられる機会の多い曲ですので、人前での演奏に向いている名曲が多いでしょう。
しかし、ギロックやカバレフスキーは初級者・初中級者でも弾ける曲が多く尚且つ演奏効果が高いので、発表会に向いている曲がたくさんある作曲家ではありますが、例えば出演者が15人〜20人程度なのにギロックを弾く生徒が3人4人もいるのはちょっと面白みに欠けます。

同じように、中級者になってくるとショパンのワルツなども弾ける生徒が多くなり、指導者側もショパンを弾かせたい生徒も多くなり、また生徒側もショパンを希望する人が増えるかもしれませんが、ショパンの定番曲ばかりが並ぶプログラムは聴いている側には有名曲が多くて喜ばれるかもしれませんが、新鮮さを感じることができないでしょう。

ですから、発表会の出演人数にもよりますが、同じ作曲家の人数の目安(規制というほどこだわらなくても良いとは思います)を、ある程度決めておくといいでしょう。
例えば、10人くらいの規模の発表会なら同じ作曲家は2名まで、15人〜20人なら2,3名まで、25人規模の発表会でも3名くらいまで、30人規模の発表会でも3,4名までなどと一応の目安を決めてギロックやショパンなどに極端に偏らないようにします。

尚、同じ曲を弾く生徒がいる事態だけは避けたほうが良いでしょう。例えばコンクール前だから発表会でもコンクールの曲を弾くことは良いとしても、同じ曲を2人以上が弾くことは生徒も保護者もどうしても比較してしまい、あまり良い雰囲気にはならないので避けた方が良いと思います。


同じ時代・国や地域に偏らないように

同じ作曲家に偏らないようにしていれば、同じ時代の作曲家に極端に偏ることは少ないとは思いますが、それでも演奏される曲目が、モーツァルト、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ショパン、シューマンなどが並ぶと、これだけで古典派と初期のロマン派という近い時代に偏っていることになります。

さらに、ショパン以外はドイツやオーストリア系なのでこれも似たような国と地域に偏っていることなり、そうなると必然的に曲想に違いがつきにくいことになります。

プログラム全体に変化を持たせる意味でも、できるだけ広い時代の音楽、できるだけ多くの国や地域の音楽が演奏されるように少し意識してみましょう。
ポイントとしては初級・初中級はアメリカ系、ドイツ系、ロシア系、子ども向けの邦人作品に偏る傾向が強いですから、ハンガリーやチェコなどの東欧系やフランス系の小品なども上手に組み込みたいものです。
中級以上はドビュッシーやフォーレなども入ってくるのでフランス系は含まれることも多いですが、逆に子ども向け邦人作品は減るので、子ども向けではない邦人作品を取り入れたり、スペインや南米などのラテン系やフィンランドやスウェーデン、ノルウェーなどの北欧系を積極的に組み込むと新鮮でバランスの良いプログラムになります。


プログラム全体にテーマ性を持たせる

上記のようにできるだけ幅広国や地域、時代の曲がプログラムに並ぶほうが曲のタイプも異なるので聴手を飽きさせませんが、逆に「今年はドイツ系を軸に」とか「ロシア物とフランス物と邦人作品の3つ」というテーマを設定する方法もあり、例えばモーツァルトの生誕200年の時には、モーツァルトの作品とそれに関連した作品群が並ぶというテーマの発表会を聴く機会もありました。


弾く順番はどうする?

ピアノの発表会は参加する年齢層の違いによっても演奏順番はいろいろと考えられますが、基本的には年齢が上の人が後というのが定番でしょう。
もちろん大人の参加者もいる時や連弾の部との構成をどうするかによって変わってくるとは思いますが、幼児から小中高が中心の場合には、単純に年下から弾いていくのが一般的だと思われます。

しかし、ピアノというのは習い始める時期も人それぞれですし、練習の量や個々の能力によっても上達の度合いは様々で、年齢が上の子が演奏力が上とは限らないのが実情なので、3年生のとても上手な子の直後に4年生の初級者が演奏することになったり、中学生や高校生のピアノ歴が長い生徒がいるのに小学6年生が最も上手ということも現実にはあると思います。

そうした場合に、それでも年齢順に並べるのか、それとも実量をある程度考慮して多少前後させるのかは迷うところだと思いますが、こればかりは解決策が見つかりにくいものです。
1つの提案としては、例えば「ソロの部(幼児〜小4)」→「連弾の部」→「ソロの部(小5〜高2)」といったプログラムにしている場合に、連弾の部をさらにわけることで少しは解決する場合があります。
もし小3や中1にとても上手な子がいる場合には、「ソロ(幼児〜小3)」→「連弾」→「ソロ(小4〜中1)」→「連弾」→「ソロ(中2〜高2)」と直後に連弾を配置することによって、直後にソロを弾くはずの生徒との実力差を感じさせくい順番にできます。


過去数年と似たプログラムにならないように

その年(発表会が毎年ではないところもあるでしょうが)のプログラムにバランスが良くても、気をつけたいのは過去数年の発表会と似たようなプログラムになってしまうことです。

例えば、ショパン「ワルツ6番小犬」は昨年の発表会で誰かが弾いたのに、今年もまた誰かが演奏したり、とにかく定番曲が毎年たくさん入っているプログラムになって、毎回似ている選曲というのは結構あるものです。

毎年同じ曲が演奏されることが悪いわけではありません。生徒本人が希望すればそれでも良いでしょうし、定番曲はいつでも人気という事情もあります。
ですが、昨年誰かが弾いた曲を今年も違う誰かが弾く場合には、「私は昨年、6年生で小犬を弾いたのに、今年は3年生が小犬を弾くなんて・・・」などという事態になり、生徒の心境としてはあまり気持よく思わないことあるでしょう。(もちろん、「私が2年前に4年生で弾いた曲を、今年は中学生が弾くなんて」という逆パターンもあるでしょう)。

こうしたことは、できるだけ避けたほうが無難のように思いますので、できれば過去1,2年に弾かれた曲はできるだけ選べないなどの方針をつくっても良いのかもしれません。
ただし、生徒が弾きたい曲との兼ね合いもあるでしょうから、厳密化するのではなくこれも目安程度にしておきましょう。


連弾はどうする?

連弾のコーナーなどを設けて、ソロ曲以外に連弾の演奏がある発表会も多いと思います。
ピアノは普段は独りで練習、レッスンでも独りでソロ曲を弾くことが大半なので、身近なアンサンブルの経験として連弾はとても有意義なことですし、発表会は連弾演奏を披露する絶好の機会です。
ですが、気をつけたいのは、連弾は演奏者が思っているほど、聴き手側には素敵な演奏には聴こえないこと多いということです。
つまり、聴いている側にとっては面白みに欠ける連弾も多いというこを、ピアノ指導者はわかっている必要があります。

連弾が、演奏者と演奏者の身内の聴き手のみが楽しめるような演奏になってしまう要因としては、1つはもともと、連弾曲はソロ曲ほどアピール力が無いことが多いせいかもしれません。
連弾の名曲といえばブラームスの「ハンガリー舞曲集」やドボルジャークの「スラブ舞曲集」、シューベルトやモーツァルトなどの作品もありますが、意外にも特定の曲目に限られています。
また、最近では連弾用に編曲されたものも多く存在しますが、逆に考えると魅力的なオリジナル連弾曲が少ないからかもしれません。

さらに、もう1つの要因としては、発表会の連弾は合わせ練習の機会が少ない回数に限られてしまうことも多いと思います。すると、どうしても2人で合わせることが主眼となりやすいので、演奏が慎重になって迫力や表現力に欠けてしまい、さらに手は4本で音はそれなりの多いので、よく仕上がっていないと雑然と聞こえてしまうこともあるでしょう。

ですから、連弾を発表会にやることは重要であっても、選曲には気をつけたいものです。
おすすめする選曲の基準としては、初級者や初中級者の連弾にはシンプルでリズム感のある曲を、中級以上の連弾ペアには有名連弾曲を選曲すると、連弾がとても聴きやすいプログラムになるでしょう。


どうして毎年似たような曲目になってしまう?

毎回のように似たような曲目のプログラムになってしまっている発表会が結構あります。
それがダメなわけではありませんが、要因は指導者の普段のレッスンでの指導レパートリー不足ではないでしょうか?

ピアノの世界には過去の偉大な作曲家が残した名曲があり、それらが発表会でも定番化していると思いますが、過去の歴史に埋もれてしまった名曲や、我々現代人と同じく今に生きている作曲家が新しくつくったピアノ曲にも魅力的な曲はたくさんあり、一部の出版社ではそうした曲を積極的に出しているところもありますので、発表会向きだけど意外と知られていないピアノ曲は結構あるものです。
指導者は発表会の準備段階になってからあわてて曲目探しをするのでなく、普段からいろいろな楽譜に目を通して常に新たな指導レパートリーをつくってして、それを少しずつ発表会プログラムに組み込んでいくようにしましょう。