ピアニストが主人公の映画やピアノにまつわる映画というのもありますが、ここではそれだけではなく、ピアノ音楽が使われている映画と音楽についてレビュー。
意外な映画にもピアノやピアノを使った音楽が登場しているかもしれません。
アザーズ |
悲しさを音楽がさらに演出これは一応ジャンルわけでは、ホラー映画ということになるのだろうか。幽霊映画ということもできるが、恐怖物という印象ではなく、どちらかというと悲しい物語というべきだろう。それを映像の美しさとシンプルな音楽がうまく後押ししている。音楽にピアノも少し入っている。この映画で感心したところは、二コール キッドマンの演技というか存在感。厳しいしつけをする母親役なのだが、美しさはいつもどおり。 そして、出演者が非常に少ないので、見ていて集中できる。必然性のない多くの人がむやみの人数だけ出てくる映画やドラマも多いが、意味のない登場人物がいないということが、ここまで気持ちの良いものだと、あたらめて実感した。 ちなみに、作中にピアノは出てくるが、話にはほとんど関係ない。ただ屋敷内にあるというだけで、本筋とは無関係。最後の仕掛けをどう思うかは見た人次第かな。(む) |
ピアノ・レッスン |
みんな弾いていたピアノが出てくる映画といえば、まず思いつきますね。近年はピアニストが主人公の映画が多く発表されましたが、これも公開当時にはとても話題になりました。確かシンドラーのリストとアカデミー賞の作品賞を争ったと思います。実はこの映画見たことないのです。公開当時はまだ高校生だったのですが、何かストーリーが怖いと人から聞いたもので、以来見る機会なくきてしまいました。 でも、流行ったのです。いいや、映画を実際に見た人(DVDやビデオを含めて)は、身近にもあまりいないのですが、映画のテーマ曲であるピアノ曲「サクリファイス」を当時はまわりが皆弾いていて、あちらこちらから聴こえていました。 ピアノ曲はそれほど難しくはありません。数種類の楽譜をみましたが、どれも要所は同じような感じで、聴いて予想していた通りです。ちょっと特徴的なピアノ曲音楽なので、当時に流行ったのもわかります。 ただ、拍子感をとるのが苦手という方には、すこしとまどいはあるかもしれないです。ガッチリと練習して弾く曲でもなさそうですが、人前でちょっと発表できたら、かっこよさはあるでしょう。 作曲家のマイケル ナイマンは、映画音楽の作曲家というわけではなく様々な曲をつくっていて、その中ではこの映画の音楽は、比較的シンプルなものかもしれません。クラシックジャンルに現代音楽風の作品も数多く発表しています。(と) |
天空の城ラピュタ |
もしかして宮崎アニメの最高峰ラピュタを初めて見たのは小学生の時だったと思います。確かどこかへ旅行へいった先の小さなホテルか旅館のようなところで、たまたまテレビをつけたらやっていました。すぐにとりこになって、夢中でみました。それから、テレビで放送されるたびに何度も見ましたが、全くあきのこない作品です。見れば見るほどに新たな発見があります。そして、次第に使用されている音楽にも興味がでてきて、ピアノで弾くようになりました。それほど主張をしているピアノ曲が入っているわけでもないのですが、音楽と絵とセリフとの一体感があるところがいいですね。宮崎アニメと久石譲の音楽がひとつになった傑作です。ナウシカの音楽も好きでピアノでも弾きます。子供だけでなく、大人のレッスン曲に使用しても好評です。 しかし、残念ながら近年の宮崎作品は、何かねらいすぎのような感があります。豪華俳優陣を声に使ったりアニメ自体の進歩など巨費を投じているのはわかるのですが、どこか神経が行き届いていないような印象です。巨大化を止められなくてあのようになってしまうのでしょうか。それこそラピュタのようにならなければいいのですが。(と) |
ラストエンペラー |
雄大さと詩的な感じ皆さんのご存知の最後の皇帝。記憶は定かではないが、公開当時はかなりの話題になったと思う。それからはかなりの月日が経ったが、ある日テレビで流れていたラストエンペラーのテーマ曲を久しぶりに聴いて、ピアノで弾きたくなった。数あるものから曲集を選んで購入。早速弾いてみたが、想像していたより弾きにくく、しかもピアノのみでは映画のサントラのような感じに近づくのは難しい。 この映画の音楽担当は、坂本龍一ということが日本では言われているが、実は音楽作曲は3人が担当で坂本はそのうちの一人。他にデビット バーンとスー ソンの2人を無視しないように。 サントラCDも聴いたが、やはり映画中で印象の残る音楽は坂本作が多いように感じる。特にテーマは、アジア的な雄大さと可憐さを併せ持った雰囲気の秀作で、ピアノのパートも印象的だ。坂本の映画音楽では他にも「戦場のメリークリスマス」などにピアノが入っているが、こちらも結構いい。オリンピックのフィギュアスケート女子シングルで、安藤美姫選手もショートプログラムで使用していた。(む) |
悪魔のような女 |
冒頭から流れる曲が怖さを見事に演出悪魔のような女〜まあ、誰もシャロンをやさしくて良い女とは思っていないだろうが、悪魔のようなまで言わなくても。現代は「ディアボロティック」というフランス語で、悪魔的とでもいうのだろう。ストーリーはどこかにあるようなサスペンスもので新鮮さはないかもしれないが、出演者が少なくてシンプルな感じが作品を楽しめる。シャロンよりもイザベル アジャーニのほうに目がいくような気はするが。 映画の中にピアノは出てこない。バックとして流れるピアノの音楽がいいのだ。何かがというか、悲しさのような恐怖がやってくる前兆のような不思議な曲で、暗示的とも感じ取れる。ピアノのみではなく、弦も加わって厚みを増していくあたりが、恐怖の暗示をさらに深めていくのだ。 音楽の質としては、人前に演奏するようなピアノ曲ではないので、わざわざ練習してまで弾こうとは思わないが、ピアノの音をバックにうまく使っているという点では良い映画だろう。(む) |
アマデウス |
こんな人だっとは思わないがモーツァルトが本当はどんな性格の持ち主だったのかは、もはや確かめようがないので(本当のことは文献などを調べてもわからない)人それぞれの解釈は勝手だけど、まさかこの映画のような感じだったとは思わないが…でも、こんな変人っぽい人だったとしても、おかしくはないかも。天才と変人は紙一重とも言いますからね。それにしても、同時代に活躍したサリエリが悪役のようにされているのが、よくわからない。モーツァルトの天才性に嫉妬しているような設定も、ありがちでちょっと面白みに欠けるかも。あと映画のセリフで登場する「無駄音は一音も入れていません」という言葉が、モーツァルトの天才さを表す言葉として日本では独り歩きしているような気がする。 けど、全体を通してストーリーはまあまあだし、音楽もバランスよく配置していて、あきさせない映画ではある。 この映画の影響は大きいらしく、モーツァルトのイメージをこの映画アマデウスのモーツァルトと重ねている人も多いかもしれない。また、短調の交響曲が恐怖的な感じで使われているので、そういったイメージを持った人もいそうだ。それほどインパクトを与えた作品とはいえる。(お) |