ピアノレッスンのヒント集

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音楽大学・音楽専門学校の受験とは

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  8. 音楽大学・専門学校の受験とは

音楽専門の道、例えば音楽大学や音楽系の学部のある大学、音楽系の専門学校などを目指している方のために、ちょっとしたアドヴァイスのページです。

演奏家や音楽教師などを目指すための音大受験の他、最近は音楽療法に重点を置いている大学や専門学校も増えてきたように思います。ここでは受験に向けてのポイントをいくつかあげてみます。

ご注意
このページは音楽専門への進学に興味を持たれた方のために、大学や専門学校の入学にはどんな試験があって、どのような準備が必要かということを、簡単に解説した内容です。
したがって一般的な記述にとどまっていますし、音大受験などの専門への道を推奨しているわけではありません。

学校選択は迷いますが

音大や音楽専門学校への進学を考えたときに、どこにするか迷うと思います。費用も多額にかかることですし、普通のピアノレッスンの先生を決めるのとは、かなりの違いがあります。自分の演奏レベルや受験の科目などと、学校のレベルや質なども考えがちですが……
どの大学や専門学校がいいのかなんて、そんなことは入学してみて授業を一通り受けるなどしないとなかなかわからないものです。
一般にレベルが高いとか、質が良い授業をしていると言われているようなところでも、本当のことは現在の学生にしかわかりようがないのですから、うわさばかりを気にしていても選択できません。

そこで、行動が必要です。少しでも興味がありそうな大学や学校の資料や情報をどんどん集めてみましょう。パンフレットなどにはもちろん良いことしか書いていないかもしれませんが、どんな授業があって、どのような講師がいて、卒業後の主な就職先や活躍している人のことなど、結構多くの情報が掲載されているものです。

そして、重要なのがやはり講習会や体験レッスンなどの情報です。資料を請求すると、だいたい今年度の日程が書かれていると思うので、時間と費用の都合がつく限り、多くの講習会などに参加したいものです。そこで、どんな講師がいて、どんなレッスンをしてくれるかも少しですが体験できます。

そうやって多くの中から絞っていき、自分の目的やレベルに合っているか、費用は範囲内かの問題になってくるでしょう。初めから一つに決めるより、選択肢は多い方が何かと都合がいいのものです。


こんな試験がある

音大受験など、特に専門的な実技や筆記の試験が重視されるところを目指している人にとっては、しっかりとした受験対策が必要になります。一般に音楽大学や大学の音楽学部などのピアノ専攻では、次のような試験科目があるようです。

いろんな試験があるねイラスト

実技試験
ピアノが専攻ならピアノの実技試験です。弾く曲も指定されている場合が多いでしょう。バッハの平均律とエチュード(ツェルニー50か60や、モシェレスや、モシュコフスキ、ショパン、リストなどから選択)のほかに、古典派のソナタや自由曲などの組み合わせが多いでしょうが、曲数や指定時間も各校によって異なりますので、取り寄せたりダウンロードした資料や要綱で確認しましょう。
楽典
音楽上(楽譜上)の基礎知識の問題です。基礎知識と言っても楽典の本で一通り学んで練習問題を数多く解いて準備する必要があります。どんな問題の傾向なのかは、各学校によって多少異なりますので、資料を取り寄せて問題の程度や過去問を見てみましょう。普通は大学に入学してからは楽典の授業がないので、入試で非常に重視する学校もあるようです。
聴音
ピアノで弾かれる音楽を、楽譜に書く試験です。単旋律を聴き取る「旋律聴音」や2声や3声を聴き取る「多声聴音」、和音を聴き取る「和声聴音」などがあります。1回弾いてから次に弾くまでの間は30秒など、出題のやり方がいろいろとありますが、絶対音感がなくても大丈夫です。相対音感の人でも質の良いトレーニングをすれば、聞き取れるようになります。
新曲視唱
8から16小節くらいの旋律が書かれた楽譜(多くの場合試験のためにつくられたオリジナルでしょう)を30秒ほど見て、声を出して歌います。音程とリズムの正確さの試験なので、声質は関係ありません(もちろん、聴こえないような声ではダメでしょうが)。これも絶対音感が無くても大丈夫ですが、やはり訓練は必要です。
コールユーブンゲン
歌の基礎教科書であるコールユーブンゲンをあらかじめ勉強しておき、当日指定された任意の1曲ないし数曲を歌う試験です。ピアノ専攻で試験科目になっているところは少ないでしょうが、聴音と新曲とコールから2つ選択というところもあるかもしれません。また声楽専攻では必須のところもあるでしょう。
国語や外国語など
要するに普通の筆記受験科目です。勉強は大切なので、しっかりやっておきましょう。

音楽大学ですとだいたいこんな試験内容で、程度の差は多少あるかもしれませんが、基本的にはどこも似ているようです。専攻がピアノ以外の別の楽器だと、実技がその楽器(声楽はもちろん歌う)になるだけで、ほとんど同じで、ピアノが副科実技試験としてある場合が多いと思います。詳しくは各校に資料や入試要項を請求すればわかるでしょう。


準備のポイント

学校によって必要な試験科目や程度は違いますが、ここでは一般的なチェックポイントを見ていきましょう。

準備はいつから

あなたが音楽系の学校への進学を決めたなら、準備はできるだけ早いほうがいいのは当然です。ピアノ専攻で音大受験のつもりなら、受験先のレベルにもよりますが、10歳以前からピアノを始めて、中学生の時にはかなり弾けているのが普通で、遅くても高校入学くらいには受験準備を始めたいところです。(他の楽器は多少異なります。管楽器などは中学生くらいから吹奏楽で始める人が多いので、事情はいろいろですし、声楽は高校生から始める人も多いと思います)

この時、実技(ピアノ専攻ならピアノ)が合格レベルを目指すのは当然ですが、問題になってくるのは意外にもが楽典やソルフェージュ系(聴音や新曲視唱)といった、専門科目の実技以外の試験です。
楽典は勉強すれば普通は大丈夫でしょうが、下の例のような本と問題集での勉強は必須です。問題は聴音という人も多いようです。

楽典―理論と実習
楽典―理論と実習
石桁真礼生 音楽系大学・学校の受験生が、必ずと言っていいほど使用している「黄色い楽典」と呼ばれる本。専門分野へ進むなら、これくらい内容は必須です。
分かりやすさという点ではいまひとつですが、一通りは学べます。練習問題付。
音大受験生のためのパーフェクト楽典・問題集
音大受験生のためのパーフェクト楽典・問題集
音大進学ゼミナール 定番の黄色楽典よりも、こちらの方がより実践向きのような気がします。この手の問題集で迷っている人にはぜひおすすめです。
姉妹書の音大受験生のためのパーフェクト・ソルフェージュ 旋律聴音編は、聴音問題のCD付なので、苦手としている人の自習にもいいでしょう。
音楽大学・学校案内 2010 短大・高校・専修
音楽大学・学校案内 2010 短大・高校・専修
音楽之友社 とても分厚い本ですが、音楽大学や高校、専修学校の情報が多数掲載されている受験情報本の最新版です。
受験の課題曲にどのようなものが指定されるのかも掲載されているので、各校の試験曲を比較してみたいという方には、参考になるでしょう。
ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典
ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典
小学館 楽譜上では表現や速さなどの表記に、多くのイタリア語が使われています。簡単なものは音楽用語辞典などを見れば意味が掲載されていますが、中には載っていないものや、意味がちょっとおかしなものも。
そんなときはイタリア語辞典で調べるのが一番。小学館は、イタリア語の辞書に昔から定評がありますので、このポケットサイズの辞典があればだいだい間に合います。(声楽の方は同じ小学館の「伊和中辞典」が必須です)
指導者の選択

専門への進学を決めたら、そのレベルで指導できる人につくのは当然です。現在習っているピアノ教師が受験生でも教えられる人ならいいのですが、そうでない場合はやはり探すことになるでしょう。現在の先生の紹介があればそれでもいいのですが、ない場合は自分で探すことになります。
しかし、どこにそのような指導者がいるのかは、簡単にわからないこともあるでしょう。
これはよいピアノの先生を見つけるには1などで触れたこととは少々異なりますが、やはり誰かの紹介に頼る人が多いと思います。あとはネットで受験対応のピアノの先生を探す方法もありますね。

そのとき、これまでに音大受験生を合格させた実績があるかが気になるところですが……過去の実績があると少しは安心ですが、結局は合格するかどうかは本人次第なので、それほど気にしなくてもいいかもしれません。どんなに実績がある先生も、最初の音大受験生のときは実績が無かったのですから。肝心なのは、受験曲目のピアノ演奏完成度を正確に判断できるかだと思います(そういう意味では、音大出身じゃなくてもいいのです)。

なにより受験レベルに達しないと思われるときにはっきり言ってくれる人が重要でしょう。可能性は少しあるからと、無理に後押しする人より信頼性はあると思います。

ソルフェージュをきっちりと

ピアノを長年弾いている人は、ピアノの音を全く聴き取れないという人は少ないと思いますが、聴音はピアノで弾かれた音がただわかれば良いというものではありません。試験問題は正確に弾かれるので、書き取りも正確にする必要があります。

ですから、受験の対策として聴音の練習をするときも、問題を弾いてくれる人がテンポもリズムも正確にピアノで弾いて、それを楽譜の正確な書き方で生徒は書く必要があるのです。
多くの場合ピアノの先生が聴音などのソルフェージュの指導もすると思いますが、これがあまり良くないケースもあります。ピアノの先生はソルフェージュの専門ではないことが多く、正確な問題の出し方や楽譜の書き方、どのように練習していくと聴音が苦手な人も上達できるのかといったことは知らない場合も少なくありません。聴音問題集の問題をただ何となく出題している人もいるでしょう。新曲視唱の指導でも、生徒の音程を正せない人はダメです。

ですから、ソルフェージュは専門の方に習うことが本来はいいと思います。ソルフェージュの専門というのは、作曲家や編曲をしっかり勉強した人や声楽の人が多いでしょう。ピアノ指導者に習うときも、ソルフェージュが得意なのかを確認した方がいいと思います。

楽典は自分で勉強

楽典というのは、楽譜上だけではなく音楽の基本知識のようなものです。知っていて当然のことばかりで、その先の勉強を進めるのに必須ですから、誰かに習ったらり教えてもらうようなものではなく、自分で進んで勉強しましょう。

楽典の本が1冊と、問題集が1冊か2冊くらいあれば十分です。しっかりと勉強しておくと、入試に役立つだけではなく、和声学や楽曲分析、作曲や編曲などにも役立つので、進んで勉強しましょう。

積極的な講習会参加

これは今では当たり前です。上で既に述べた学校選択という意味のほかにも、周りの同じような受験生のレベルを知ることもできますし、その学校での講習会なら、試験会場に慣れることにもなります。
また、自分がその学校へ入学してから個人レッスンをして欲しい先生を探す機会でもあります。
講習会はその大学のみではなく、地方の数箇所で開催している大学もあるので、こまめにチェックみましょう。


よく言われているようなことについて

音大受験などでは、うわさのように言われている事柄があるでしょう。例えば、「あの先生についた方が、この音大への合格率は高い」とか、「その大学の系統の先生についていないと、受験では不利らしい」といったことです。他にも…

といったことですが、実際はどうなのでしょうか。
どれもがありそうですし、うわさに過ぎないようにも思えます。こういったことの実情は、きっと音楽大学の受験に直接携わっている人々でないと、わからないことでしょう。

ただ、一般にうわさのように思われているほどに、こうしたことによる偏った選考は無いと思います。私は以前に、某音楽大学の助教授に話を聞きましたが、そこでは非常にクリーンに実技と学科の点数で合格と不合格を決めていて、よく言われるような「あの先生についていると有利〜」的なことは、全くないと言っていました。それは、「質の良い学生を集めるために当然のこと」だそうです。

それとは別に、受験する学校の講習会に複数回参加して、そこの講師陣に自分のレベルをある程度判定してもらうことくらいは、しておいた方が無難かもしれません。できれば、その後からも個人レッスンを定期的にしてもられるようであれば(普段の先生とは別に月に1回くらいでも)、合格レベルに達しているかどうかくらいは、受験曲の選曲も含めて判断してもらえるでしょう。


ちょっとまとめ
だいたい音楽大学や音楽専門学校への進むとなると、このようなことがポイントとなると思います。準備しなければならないことは、結構ありますね。
個人的には慎重に考えた方がいいような気がします。音楽系はお金もかかりますし、それだけかけても将来に演奏家としてやっていける人はほとんどいないからですし、学校の音楽の教師やピアノ教室を運営といったことをやっていける人でさえ、わずかの人数です。
上記の様々な項目を見て、「音大受験は大変そうだなぁ」と少しでも思ったなら、やめた方が無難かもしれません。
またこの道1本に絞ってしまうと融通がききにくく、音楽関連の仕事への就職も、他の分野からの方が有利な場合もあるほどです(録音などの技術職も、音楽の勉強だけでは不利です)。ですから、ピアノなどの音楽は趣味で楽しくやっているのが一番です。趣味でピアノを弾いていても音大出身者よりも上手い人は山ほどいます。
ただ、最近は音楽療法などの分野も広がってきたので、新しい展開が増えているのも確かです。まだ一般の認知度は高くないものの、将来的には非常に可能性のある分野ではありそうです。それでもこの場合も、保育士や介護分野などの資格も併せ持った複合的な職業というのが現実なので、音楽専門へ進んでからも他分野の勉強は欠かせません。
個人の考え方はいろいろですが、かなり頑固な信念を持っていないと(持っていたとしても)、音楽専門は難しいでしょう。その証拠に、音楽専門を目指す人は増えていないので、近年では定員を大きく割っている私立の音楽大学もいくつかあります・・・・。

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