ピアノレッスンのヒント集

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PCで音楽〜ピアノレッスンで活用

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    で活用

パソコンで音楽を作成するDTMを、ピアノのレッスンの中で使用してみましょう。簡単な曲を作曲や編曲したり、移調や楽典を学ぶにも役立ちます。

ここでは、ソフトの使い方そのものよりも、実際のピアノレッスンやその下準備での活用事例をご紹介します。


ソルフェージュにフル活用

パソコンの音楽作成ソフトを使用開始したばかりで、それほど多くの機能を使いこなせなくてもできるのが、ソルフェージュでの活用です。

例えば聴音では便利です。市販の聴音問題集をそのまま練習問題として用いても、生徒の細かなレベルに対応できないこともありますが、自ら聴音問題を作成すれば解決できます。
また、聴音はピアノを正確なテンポで弾くことに、先生自身が弾くとどうしてもムラがあると思いますが、作成した問題をそのままパソコンや電子ピアノから再生して使用できるので、正確なテンポと正確な音程の問題を、生徒に提供することができます。

例としてこのようなハ長調のソルフェージュ問題をつくったとします(聴音課題01)。
これを普通にピアノで弾いてもいいですし、電子ピアノなどで再生しても使えますね。

聴音課題01

作成した音楽を、パソコンなら移調をするのも得意です。操作もマウスで数回クリックするだけなので、とても簡単。
同じ課題を調が違っても、生徒が聴き取ることができるか試すのもにも使えます。例えばこんな感じになります(聴音課題02)。

聴音課題02

「そんなこと自分でピアノを弾いて出来るから必要ない」と思うピアノの先生もいることでしょう。でも、パソコンならテンポを変更するのも簡単で正確ですので、少しずつ変えて試せます。
また、課題がこれくらい簡単ならいいのですが、もっと複雑になってきて2声聴音や複雑な和声聴音になると、多くの調を弾く手も大変になってきます。
それに課題を時間があるときに作成しておけば、聴音が苦手な生徒にmidiデータやオーディオデータを自宅学習用に渡してもいいですし、プリントして新曲視唱にも使えます。


オリジナル教材を作成

ピアノの教則本や曲集は、一昔前と違って優れたものが数多く出ていますが、それでも生徒の進度や個性に合っていないと感じることもあります。そんなときに、パソコンを使ってオリジナルの教材を作るといいでしょう。

「作曲なんてしたことない!」と、構える必要はありません。昔ながらにあるような有名なメロディーを、生徒の実力に合うようにアレンジすればいいのです。つまり、作曲だと難しく考えがちなので編曲をするのです。

編曲も知識が必要ですが、基本的な音楽知識があるなら大丈夫でしょう。和声学を一通り学んでいれば心強いですが、なくてもパソコンのソフトがコード作成機能で助けてくれますので、何とかなります。
もちろん、コードを自動でつけてくれる機能も万能ではないので、自分の考えもいれながらつけていく工夫は必要です。

他にも、技術的に苦手とする部分のある生徒に対して、ピンポイントで練習課題を作成するのもいいです。例えば、左手の音階の動きを練習する生徒のために、曲のような練習曲を作ってもいいでしょう(左手練習曲01)。

左手練習曲01

この例では、左手の動きを多くして、右手は比較的簡単に。しかし、3連符と16分音符を合わせる箇所があるなど、少し仕掛けをつくるなどしています。

こんな感じで、生徒の実力や理解力を考慮した指導者のオリジナル教材作成に、パソコンは結構活躍します。


パソコンで音楽作成そのものをレッスンする

パソコンでの作曲が慣れたら、そのものをピアノのレッスンに取り入れてもいいと思います。小学生から大人までとても興味をもってくれます。

しかし、レッスンの主目的はパソコンの音楽ソフトを上手に操作することではなく、音楽をより楽しむひとつの手段だと考えてもらいます。
例えば、楽譜というものに対する理解が、パソコンを使用することで深まりやすいようです。音の高さと長さという基本的なことが、鍵盤や紙の楽譜上のみでは把握しにくい生徒も、パソコンで音符を並べて実際に音を出すことによってわかってもらえます。

他にも、楽典の知識とピアノの表現との関連も身につきやすくなります。「ここにフォルテの記号を置いてみる。ここにはデクレッシェンドを」という具合に自分で工夫してから音を慣らして、想像とのギャップを認識してもらいます。こういったことは、実際にピアノを弾くうえでも、作曲家が楽譜に託した意図を読み取ろうとするようになり、楽譜の記号を大切にすることにもにつながります。

音楽により親しんでいる生徒なら、コードの勉強やアレンジの勉強にも役立ちます。ピアノで即興で演奏できれば一番いいのですが、メロディーからコードを判定して自分で即座に伴奏をつけたり、ピアノ以外の音楽をピアノ譜にアレンジすることは、そう簡単にできることではありません。

そういったこともパソコンを使えば理論的なことも理解しやすい上に、アレンジ力もついてきます。ソフトが自動判定するコードと自分がつけたいコードの違いなどを考えるようになってくると、本格的な編曲への道も開けてきます。

ピアノレッスンでのパソコン
自分の範囲で
DTMが得意または職業的にしている人でないならば、それほど専門的な知識までは必要なくても、ピアノレッスンで活用できると思います。一応の音楽知識とパソコンの基本操作ができれば、ソフトに付属の解説書を読みながら、少しずつやっていくだけで、やがては小品の作曲や編曲ができるはずです。ピアノレッスンの中の補助的役割だと思っていれば気が楽にトライできるでしょう。
細かい配慮の作品をつくらなくても、電子ピアノにはmidi端子がついているので、音をそこから出すだけでも楽しく活用できます。
基本に重点を
生徒を相手に教えるときでも、基本の操作や音楽の基礎知識に重点を置き、ソフトの使い方の細かいことまでは教えなくてもいいと思います。子供なら自分で先にどんどん進んで曲をつくってしまう場合が多いですし、大人の方の作曲でも、基本を覚えてもらうことが大切です。最初は8小節くらいの曲から始めて音楽の作り方を覚えてもらうことが、次へと進めるステップです。
感想を適度なアドバイス
子供は自宅で好きな曲のアレンジをしたり、自分で面白い音楽を作ってくることもあるので、適度なアドバイスが、さらなる進歩への王道です。「ここをこんな風にもできるよ」といった具合に、アイデアが発展していくような助言をするといいと思います。