ピアノの上級曲・難曲を攻略していくシリーズです。
第1弾は華麗な演奏効果でコンサートや発表会曲として人気のグラナドス「演奏会用アレグロ」を取り上げてみましょう。
「演奏会用アレグロ」 Allegro de Concierto グラナドス Granados
スペインの作曲家エンリケ・グラナドス
グラナドスは小さなピアノ作品や小品の続した組曲などが持ち味の作曲家ですが、この演奏会用アレグロは中規模程度・演奏時間7分〜9分程度の華やかなピアノ曲です。
当時、マドリード音楽院の卒業試験曲として作曲されただけあって、高速アルペジオの連続などのテクニカルな箇所が多く、演奏には高度なテクニックが必要です。
この解説ページの譜例では、左手で弾くと弾きやすい箇所を青色の円や字や数字で、右手を同じく紫色で示しています。
小節番号はグレー色の数字で示しています。
譜例1小節目〜この曲は少々珍しい♯7個の嬰ハ長調という調性が主体となっています。
冒頭のファンファーレのような2小節間のかっこいいスタートで、その後に何度か出てくる第1テーマとも言える右手アルペジオの連続です。
これらの32分音符のアルペジオにはスラーがついていますが、レガートというよリもフレーズのスラーだと考えて、実際の演奏ではレッジェーロのような感じのタッチでパラパラ気味に弾くと良いでしょう。
譜例13小節目〜右手のミからミの箇所は楽譜によってはオクターヴ上の8vaを書き忘れているものもあるので注意しましょう。
そしてこの音型の連続ですが、楽譜の指示どおりの右手左手の配分でも弾けますが、譜例に書いたような左右の手の配分にするととても弾きやすくなります。
15小節目も左手でレファミを弾くとその後の右手が弾きやすくなります。
譜例33小節目〜この曲は全体的に32分音符などの細かい音符のアルペジオの連続が多く華麗に聴こえるので、弾けさえすればそれなりに上手く聴こえるとも言えますが、ここ33小節目はゆったりと聴こえる部分で歌心があって欲しい箇所です。
右手の最上声部のメロディーを歌って弾くことが当然ですが、右手の内声部をかなり控えめにして練習することも大事です。
さらに左手の動きも控えめながらもまるでサブメロディのようにうまく歌って弾くようにしたいところ。これら全部が融合して聴こえるようによく耳で判断しながら練習しましょう。
譜例52小節目〜なんでも無いような箇所ですが弾きやすい方法があります。
譜例に示したように左手も使って手の交差で弾くと弾きやすくて演奏効果抜群です。
54小節目は楽譜どおりだと右手が難しいので、譜例で示したような左右の手の配分と指番号にしてみましょう。かなり弾きやすいと思います。
譜例94小節目〜右手で弾く6連符のファ・ド・ラ・ミまでを右手弾いて、6連符のファから左手で弾くと次の拍に入るのがスムーズです。
95小節目の左手も譜例の青い字で示したようにすると弾きやすいでしょう。
譜例106小節目〜ここは楽譜どおりの2から始まる指づかいでの弾けるのですが、手が小さめの方は1から始めるのが良いでしょう。
ド・ファ・シ・ラで1セットとしてそれの繰り返しだと思うと覚えやすく弾きやすいと思います。
譜例120小節目〜中盤の聴かせどころの64連符の連続の箇所です。
ここも譜例に示したようにミ・ド・シ・ソを1セットとして、左右の手の交差で弾くと弾きやすくなります。単に弾きやすいだけではなくグーっとくるクレッシェンド感を出しやすいので演奏効果としても手の交差がおすすめです。
譜例122小節目〜ここも122小節目と同じように手の交差で、ラ・ファ・レ・ドを1セットとして弾きます。最低音のラまで一気に駆け抜けられるように練習してみましょう。
譜例126小節目〜右手がずっとオクターヴの連続なので音圧を出しやすいと思いますが、強音の連続でも音響は大事です。
右手は1番指よりも5番の音が出るように意識をして出るように研究してみましょう。上昇系の箇所は楽譜どおりのペダルで合っています。途中で踏みかえずにクレッシェンドしましょう。
譜例143小節目〜32分音符や64分音符のびっしりと連続している箇所が難しいと思いがちですが、実はこの143小節目からの盛り上がる箇所が難所です。
右手はあまり難しく無いのですが、左手の指づかいをしっかりと決めていかないと無理している感じの演奏になります。
譜例に示したような番号が良いと思うので試してみてください。ここで感情がグッとくるような演奏になるためには左手の弾き方が重要なので、まずは指づかいをしっかりやって弾けるようにすることが重要です。
譜例147小節目〜ここも143小節目からと同じです。
譜例に示したような左手の指づかいをするといいでしょう。
譜例157小節目〜158に入る直前の左手の指番号から158に入ると楽に弾けます。
譜例183小節目〜最後の上昇系です。
弾けてしまえば好きな指づかいでOKな箇所ですが、決まらない方は左右ともに全部3で弾くのがおすすめです。意外と外さないで弾けます。
まとめ〜今回の戦略では左右の手の配分や指づかいについて多く掲載しました。
実際の演奏では間の取り方やうまく聴こえる歌い方、場面転換での表情の変化などが重要になってきますが、今回はこのレヴェルの曲を弾く方にとって実用的で即役に立つ情報を中心に掲載したつもりです。
これらの工夫で実際に弾いてみると弾きやすさ・表現にしやすさにかなり違いがあると実感してもらえると思うので、ぜひいい演奏に仕上げてみてください。
